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そもそもアイデンティティとは?ID・アカウントとの違いは?-デジタルアイデンティティのやさしい教科書 Blog

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「デジタルアイデンティティのやさしい教科書」の連載記事です。この連載で認証・認可、権限管理などサイバーセキュリティにおけるアイデンティティの基礎を学ぶことができます。

そもそもアイデンティティとは?ID・アカウントとの違いは?

・IDとは?

IDとは識別子(Identifier)です。システムやアプリケーション内でユーザー、デバイス、プロセスなどを一意(Unique:ユニーク)に識別するための基本情報を指します。IDは、主体(subject:人・デバイス・プロセスなど)がリソース(object:目的となるもの)にアクセスする際に、これらエンティティが「誰(または何)であるか」を検証・確認するために使用されます。

具体的には、ユーザー名、メールアドレス、デバイスID、APIクライアントID、ホスト名などがIDに該当します。IDは認証(Authentication)や認可(Authorization)プロセスにおいて、エンティティを正確に識別する重要な属性として機能します。

・アカウントとは?

アカウントは、システム内でIDに紐付けられた、権限、設定、アクセス情報を管理する単位です。主体がリソースにアクセスできる範囲や操作可能な権限を制御する役割を持ちます。

アカウントには、ID(ユーザー名やメールアドレスなど)を中核に、ロール、セキュリティ設定、ログイン履歴などが含まれます。この情報を基に、システムは主体を正確に識別し、適切な権限を付与します。

また、IDやアカウントと密接に関わる「アクセス管理」の仕組みについては、アクセス管理とは―現代のセキュリティに不可欠な仕組みで詳しく解説しています。

・アイデンティティ(Identity)とは?

サイバーセキュリティの文脈では、アイデンティティとは、IDやアカウントなどを含む広い概念を指します。NISTのデジタルアイデンティティガイドライン(NIST SP 800-63-3)では、以下のように定義されています。

"An identity is the set of attributes that uniquely describe an entity within a given context."(アイデンティティとは、特定のコンテキスト内でエンティティを一意に識別するための属性の集合である。)

例えば、社員番号のような自社でしか通用しないアイデンティティや所属部署という属性もあれば、実名やメールアドレスのように組織外でも通用するアイデンティティもあります。特定のシステムでのアカウントのユーザー名、パスワード、ロール(権限)もアイデンティティに含まれます。

・Identity

役割

ID、アカウント、属性などを含む、エンティティを一意に識別するための情報全体。

Name: Taro Yamada Department : business technology Email: taro@example.com

・ID(Identifier)

役割

アイデンティティを一意に特定するための属性。単一の識別子。

user123 taro.yamada@example.com

・アカウント

役割

IDにもとづき、システムやIT環境の中でリソースへのアクセス権限や設定を管理する単位。

username:user123 Email: taro@example.com Role: Admin

情報システムに関連する事柄で説明すれば、アイデンティティは上記のような定義になりますが、誕生日、家族構成、好きな食べ物、飼っていたペットなど、あらゆるものはアイデンティティを構成する属性であると言えます。いわば、アイデンティティとは、少し哲学的な言い方になりますが、そのものが持つ属性の束のようなものであり、その人やものを形作る認知できる属性の集合体です。実際に、過去には秘密の質問として、好きな食べ物やペットの名前などを認証情報にしていました。これは、多くの脆弱性や問題があったため今では用いられなくなりましたが、確かにアイデンティティの一部に他なりません。

このように、アイデンティティは多面的で曖昧ですが、現代のデジタルアイデンティティの領域においては、標準化されたプロトコルやそれを支える暗号技術によって、システムはそのエンティティの検証可能な属性をもって、主体を識別します。第2章から詳しく解説しますが、現代のシステムでは、主体の主張する属性が検証可能であることが求められます。

アカウントが見えづらくなりがちなシャドーITも、アイデンティティ管理の課題のひとつです。シャドーITについてさらに詳しく知りたい方は、Josys ブラウザ拡張機能によるシャドウ IT の管理もご覧ください。

なぜ多要素認証が主流になったのか?なぜWindows11ではTPM2.0が必須になったのか?パスキーはなぜ普及しようとしているのか?パスワードレス、公開鍵基盤(PKI)、X.509証明書、デジタル署名、ハッシュなど暗号技術はなぜ必要なのかなど、アイデンティティに関する疑問や技術を本連載で明らかにしていきます。

・エンティティとは?

セキュリティやIT関連の用語として、エンティティとは、識別可能な一意のすべての「実体」を指します。エンティティはID(識別子)などの属性(Artribute)情報を持つ箱や束のようなもので、人やデバイスだけでなく、システムやプロセスなど無形のリソースも含まれます。

例えば、ユーザー エンティティは、一意のID(メールアドレスやUUIDなど)や部署・役職・ステータスなどの属性およびロールなどの情報が含まれます。また、デバイス エンティティは、デバイスID、シリアルナンバー、OSバージョン、場所、その他ハードウェアやソフトウェアの構成などの属性を持ちます。

・リソースとは?

本記事では、NIST SP 800-207(Zero Trust Architecture)と同様に、リソースをサーバ、システム、データ、アプリケーション、デバイス、ネットワーク機器など、組織が管理する資産とします。保護すべき対象であり、適切なアクセス制御が必要です。組織のネットワーク内だけではなく、クラウドサービスで管理しているアカウント・データなど、有形無形を含む情報資産も対象です。また、本記事においては、アクセスや操作をする対象として、英単語のObject(目的・目標)と同義として扱います。


NIST SP 800-207(Zero Trust Architecture)

"Resources are the information, data, applications, services, or assets that users or entities request access to." (リソースとは、ユーザーまたはエンティティがアクセスを要求する情報、データ、アプリケーション、サービス、または資産です。)

・コンテキストとは?

コンテキストは直訳すると「文脈」ですが、サイバーセキュリティの分野では、ユーザー、デバイス、システムといったエンティティの属性や状態、環境の変化を相関的に捉えることを指します。コンテキストによって、現在と過去の状況からリスクを判断することに活用されています。

例えば、普段は、日本からあるシステムへアクセスしていたユーザーが、1時間後に突然、ロシアからアクセスしてきました。このコンテキストは、物理的に不可能な速度で移動していることを示しています。アカウントのなりすましなどの不正アクセスのリスクが高く、すぐにアクセスを遮断すべきという判断ができます。

次回は、「デジタルアイデンティティ管理の目的と必要性」について、ゼロトラストに絡めながら解説します。お楽しみに!

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