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従業員が使うPC、業務で利用するSaaS、社内に敷設されたネットワーク機器。こうした「IT資産」の全体像を正確に把握できている組織は多くありません。SaaSの普及やリモートワークの定着により、IT資産の範囲は急速に広がり、管理の難易度は高まる一方です。
本記事では、IT資産管理の定義・対象範囲・目的から、SaaS時代における管理の課題と具体的な対応方法までを解説します。情シス担当者やIT部門マネージャーの方に向けた内容です。
IT資産管理(ITAM:IT Asset Management)とは、企業が保有するIT関連の資産を体系的に把握・管理・最適化する一連の取り組みを指します。管理対象はPC・サーバーなどのハードウェアにとどまらず、ソフトウェアライセンス、クラウドサービス・SaaS、ネットワーク機器まで含みます。資産の存在を把握し、誰がどのように使っているかを可視化した上で、コスト・セキュリティ・コンプライアンスの観点から最適な状態を維持することが目的です。
IT資産管理という概念は、IT業界標準の管理フレームワークであるITIL(IT Infrastructure Library)においても中核的なプロセスとして位置づけられています。国際規格ISO 19770は、ソフトウェア資産管理に特化した基準を定めており、大企業や公共機関では準拠が求められる場合もあります。
IT資産とは、企業が業務遂行のために保有・利用するIT関連のすべてのリソースを指します。物理的な機器(ハードウェア)だけでなく、ソフトウェアライセンスやSaaSの契約も含まれます。リモートワークの普及により、自宅や外出先で使用されるデバイス、個人契約のSaaSといった「見えにくいIT資産」も管理対象として意識する必要が出てきています。
IT資産は大きく4つのカテゴリーに分類されます。第1のカテゴリーはハードウェア資産で、PC・ノートPC・スマートフォン・タブレット・サーバー・ネットワーク機器などが含まれます。
第2のカテゴリーはソフトウェアライセンスで、オフィスソフト・セキュリティソフト・開発ツールなど、購入・ライセンス契約したソフトウェアが対象です。
第3のカテゴリーがSaaS・クラウドサービスで、サブスクリプション契約のクラウドアプリケーション全般が含まれます。第4のカテゴリーはネットワーク機器・周辺機器で、プリンター・Wi-Fiアクセスポイント・UPSなどが対象です。
IT資産管理が最終的に目指すのは、組織が保有・利用するすべてのIT資産の状態を常時把握し、コスト・セキュリティ・利便性のバランスを保った運用を続けることです。単なる棚卸し作業ではなく、調達から廃棄までの全ライフサイクルを通じた継続的な管理が求められます。
「台帳に記録する」だけがIT資産管理ではありません。調達時の適切な機器・ライセンス選定から、運用中の使用状況のモニタリング、異動・退職時のアカウント変更、廃棄時のデータ消去・環境に配慮した廃棄処理まで、一連のライフサイクル管理を体系的に行うことが本質的なIT資産管理です。この全体像を把握した上で、自組織に不足している管理領域を特定し、優先的に整備することが効率的なアプローチです。
参考: IT資産管理とは?DX時代の課題と効果的な管理手法を徹底解説 | CACHATTO COLUMN
IT資産管理の重要性は、ハイブリッドワークの浸透とSaaSの急速な普及によって、以前とは比較にならないほど高まっています。管理対象が増え、管理が見えにくくなったことで、問題が発生した際の影響も大きくなっています。
オフィス内のPCだけを把握していれば済んだ時代から、リモートワーク用のノートPC・タブレット・スマートフォン、自宅から接続するクラウドサービスまで管理対象が広がりました。機器の所在が分散し、資産台帳を常に最新の状態に保つことが難しくなっています。デバイスの紛失・盗難リスクも高まり、端末のセキュリティ状態の把握も求められます。
コロナ禍以降のリモートワーク普及で、多くの企業が急速にノートPCの台数を増やし、VPNやクラウドサービスの利用を拡大しました。この「急速な拡張」の際に資産管理が追いつかなかった組織では、今もIT資産の全体像が不明確なまま運用が続いているケースがあります。
モバイルデバイス管理(MDM)の導入が進んでいる組織では、スマートフォン・タブレットのセキュリティ状態をリモートで確認・制御できます。しかし個人所有デバイスをBYODで業務利用している組織では、デバイスの把握自体が困難になります。BYOD環境での管理方針を明確にし、業務用データへのアクセスを制御する仕組みが必要です。
SaaSの利用が広がる前は、ソフトウェア管理の中心はオンプレミスのライセンス管理でした。現在は1社あたり平均130〜207種類のSaaSを利用しており、SaaSの契約・利用状況の把握が新たな管理課題として浮上しています。クレジットカードで個人契約できるSaaSが多いため、情シスの把握外で業務利用されるケースが多く発生しています。
SaaSの管理が難しい理由の一つが、「契約の分散」です。オンプレミスのソフトウェアは購入時に請求が発生し、調達部門が把握しやすいですが、SaaSは月次・年次で各部門が個別に支払うケースが多く、IT支出の全体像が見えにくくなります。経費精算システムやクレジットカード明細を横断的に確認しなければ、SaaS支出の実態を把握できません。
SaaS管理の観点では、「利用しているが誰も使っていないアカウント」の存在も問題です。部門の人員構成が変わり実際には使われていないアカウントが残存している場合、その分のライセンス費用が無駄に発生し続けます。定期的な利用状況の確認と未使用アカウントの棚卸しによって、SaaS費用の適正化が実現できます。
参考: IT資産管理とは?目的・必要性から管理ツールの機能・選び方までわかりやすく解説 | ISM Cloud One
IT資産管理の対象は4つのカテゴリーに分けられます。すべてを同じ管理基準で扱うのではなく、カテゴリーごとの特性に合わせた管理方法を選ぶことが重要です。管理の抜け漏れをなくすために、まず4つのカテゴリーを網羅的に把握することから始めましょう。
PC・ノートPC・スマートフォン・タブレットなどの従業員端末、社内サーバー、ネットワークスイッチ・ルーターなどの機器が該当します。購入日・シリアル番号・使用者・設置場所・保証期限・廃棄予定日などを資産台帳で管理します。端末の物理的な所在と利用者を常に最新の状態に保つことが基本です。
ハードウェア管理で特に重要なのは、EOL(製品サポート終了)の管理です。OSやファームウェアのサポートが終了した機器は、セキュリティパッチが提供されなくなり、既知の脆弱性を抱えたまま運用し続けることになります。サポート終了予定を資産台帳で管理し、計画的な更新を行うことがセキュリティ維持の観点から重要です。
廃棄時のデータ消去も忘れてはいけない管理項目です。PCやサーバーを廃棄する際に、HDD・SSDに業務データが残ったまま廃棄されると、情報漏洩のリスクがあります。専用のデータ消去ツールを使った論理的消去か、物理的な破壊を伴う廃棄処理を実施し、記録として残します。
オンプレミスで使用するソフトウェアのライセンス数・購入数・使用数を定期的に照合し、過剰・不足を把握します。ライセンスの更新時期の管理と費用最適化が主な管理業務で、未使用ライセンスを特定して解約・返却することでコストを削減できます。
ソフトウェアライセンスの過小管理(使用数がライセンス数を超えている状態)は、監査の際に発覚すると罰則を受けるリスクがあります。Adobe・Microsoft・AutoDeskなどの主要ベンダーはライセンス監査を実施する場合があり、ライセンス違反が発覚した場合は追加購入費用と損害賠償が求められます。適切なライセンス管理は、コスト最適化だけでなくコンプライアンスリスクの回避という観点でも重要です。
逆に過剰なライセンス購入も問題です。実際に使っているソフトウェア数より多くのライセンスを購入している場合、余剰分のコストが無駄になります。ライセンスの棚卸しを実施して実際の使用数を把握し、次の更新時期に合わせてライセンス数を適正化することで、ソフトウェア関連の支出を削減できます。
月次・年次で支払われているSaaS契約の全件把握、ユーザー数・利用状況・契約コストの管理が対象です。利用されていないアカウントやプランの適正化によるコスト削減、シャドーIT(未承認SaaS)の検出と対応が主な管理業務となります。
SaaS管理の難しさは、「誰でも簡単に契約できる」という利便性にあります。クレジットカード1枚あれば数分で利用開始できるSaaSが多く、情シスの承認を経ずに業務利用が始まるシャドーITが発生しやすい環境です。Assuredの2024年調査では、65.6%の企業でシャドーIT対策が未実施とされており、多くの組織で把握外のSaaSが存在しています。
SaaSの利用状況は月次で確認することが理想です。月次でアクティブユーザー数とライセンス数を照合し、乖離がある場合はライセンスを解約するか、利用促進を図るかを判断します。特に年間契約のSaaSは、利用状況が低下していても自動更新されるケースがあるため、更新月の3カ月前には利用状況を確認する運用を設けます。
プリンター・複合機・Wi-Fiアクセスポイント・UPSなどの周辺機器もIT資産の対象です。ファームウェアの更新状況やサポート終了(EOL)の管理も含まれ、EOL機器が残存するとセキュリティ上の脆弱性になります。
ネットワーク機器は「一度設置したら長期間そのまま」という運用になりやすく、EOL管理が疎かになりがちです。ルーター・スイッチ・無線APなどのネットワーク機器がサポート終了後もファームウェアの更新なしに使い続けられている場合、既知の脆弱性が放置されることになります。ネットワーク機器のEOLスケジュールを資産台帳に記載し、計画的な更新・交換を実施することが必要です。
参考: IT資産管理とは?管理項目や行う目的を解説 | SBフレームワークス
IT資産管理を体系的に行うことで実現できることは、コスト最適化・セキュリティ強化・コンプライアンス対応・業務効率化の4点に整理できます。それぞれの目的は独立しているわけではなく、IT資産管理を適切に実施することで4つの目的が同時に達成されます。
使われていないSaaSアカウントや余剰なソフトウェアライセンスを把握し、解約・返却することでIT支出を削減できます。IT資産管理なしには、年間のIT支出の実態すら把握できず、コスト最適化の手がかりが生まれません。特にSaaSのライセンス費用は、使用状況と照らし合わせた定期的な最適化によって削減余地が大きい領域です。
日本のSaaS型IT資産管理ツール市場は2025年に3,767億円規模まで成長するとの予測があり、IT資産管理への投資が急速に進んでいます。投資に見合う効果として、IT支出の可視化と最適化、コンプライアンスリスクの低減、情シスの工数削減が期待されています。適切な資産管理なしには、年間のIT支出の実態すら把握できません。
コスト最適化の観点では、「使っていないが払い続けている」費用の発見が最初の成果になることが多いです。SaaSのライセンスを適正化することで年間数百万円単位のコスト削減が実現できた事例も報告されています。IT資産管理の投資回収期間が短くなるため、特にSaaS利用数が多い組織では優先的に取り組む価値があります。
IT資産の全体を把握していなければ、セキュリティ管理の範囲が定まりません。未管理のデバイスやシャドーITは、セキュリティ対策が施されていない状態で業務データを扱うリスクを生みます。退職者のアカウントが削除されずに残存するリスクも、IT資産管理が機能していれば早期に検出できます。
サイバーセキュリティクラウドの調査によると、2025年の国内セキュリティインシデント件数は前年比約1.4倍に増加しており、インシデントの主因は不正アクセスです。IT資産管理が整備されている組織では、攻撃対象となり得るアカウントやシステムが把握できており、MFAの設定漏れや退職者アカウントの放置を防ぎやすくなります。
セキュリティ観点でのIT資産管理の重要性として、エンドポイントの管理も挙げられます。どの端末が社内ネットワークや社内システムにアクセスしているかを把握することで、紛失・盗難端末のリモートワイプや、未管理デバイスからのアクセスブロックが可能になります。MDMと連携したエンドポイント管理は、セキュリティ強化と資産管理を統合するアプローチです。
ソフトウェアライセンスの過小管理(ライセンス違反)は、監査の際に指摘される法的リスクとなります。個人情報を扱うSaaSの利用実態を把握していないと、個人情報保護法などの規制対応が困難になります。IT資産の把握と管理はコンプライアンス体制の基盤です。
SOX法対応(J-SOX)が求められる上場企業では、IT一般統制の観点からアクセス権限管理・変更管理・バックアップ管理などが監査対象になります。IT資産管理が整備されていることで、監査対応に必要なドキュメントや証跡の提出が効率的に行えます。
情報セキュリティ関連の認証(ISO 27001、ISMS等)を取得・維持するためにも、IT資産管理は必須の要素です。資産の棚卸し・リスク評価・管理策の実施という一連のプロセスが、認証要件の中核に含まれています。
入社時のPC・アカウント準備や退職時の回収・削除処理が体系化されていると、担当者の工数を大幅に削減できます。資産の所在と状態が一元的に把握できていると、問い合わせ対応や障害対応の速度も上がります。
入社オンボーディングを例に挙げると、IT資産管理が整備されていない組織では、入社者ごとにPCの準備・SaaSアカウントの発行・各種権限設定を担当者が個別に対応します。この作業は複数の管理画面を行き来しながら進めるため、1人あたり数時間〜1日程度の工数がかかることもあります。IT資産管理を整備してテンプレート化することで、同じ作業を効率よく、かつ抜け漏れなく実施できます。
ヘルプデスクの対応効率も向上します。「このPCはいつ購入したもので、保証はいつまでか」「この社員はどのSaaSを使っているか」といった問い合わせに、台帳を参照することなく即座に回答できます。また、障害発生時の影響範囲の把握も、IT資産管理がある組織の方が迅速に行えます。
参考: IT資産管理とは?目的・メリット・手順・ツール選定までを徹底解説 | Hammock
IT資産管理を実践するためには、4つの管理項目を体系的に整備する必要があります。各管理項目は互いに連携しており、一つが不足すると他の管理精度にも影響します。
すべてのIT資産の一覧(資産台帳)を作成し、常に最新の状態に保つことが管理の起点です。資産台帳には資産名・シリアル番号・購入日・使用者・設置場所・廃棄予定日などを記録します。手動でのインベントリ作成は規模が大きくなると維持が困難になるため、ネットワークスキャンによる自動収集を組み合わせることが現実的です。
資産台帳を「作って終わり」にしないために、変動があった際に都度更新するプロセスを設ける必要があります。PCの新規購入・異動・廃棄、SaaSの新規契約・解約・ユーザー変更が発生した際に、資産台帳への反映を義務付けるフローを整備します。半年に一度の定期棚卸しで台帳の内容と実態の差異を確認し、修正します。
ネットワークスキャンを活用したハードウェアの自動検出は、社内LAN上に存在する機器を定期的に収集できます。エージェントベースの管理ツールを導入することで、インターネット経由で社外にある端末の情報も収集可能になります。これにより、リモートワーク環境の端末も一元管理できます。
購入したライセンス数と実際の使用数を定期的に照合し、過剰・不足を把握します。SaaSの場合はシート数・プランの内容・更新月を管理し、契約満了前の見直しを計画的に行います。年1回以上の棚卸しを定例化し、未使用ライセンスの解約・削減につなげます。
ライセンス管理で見落とされやすいのが、無償トライアルからそのまま有償プランに移行してしまったSaaSです。部門担当者がトライアルを開始し、そのまま自動で有償プランに切り替わっても気づかれないまま費用が発生し続けるケースがあります。クレジットカード明細と経費精算システムを月次でチェックすることで、こうした見落としを防げます。
ライセンスの更新時期を一覧管理し、更新の3カ月前にはアラートを受け取れる仕組みを設けることで、計画的なライセンス見直しが可能になります。この「事前の見直し機会」が、無駄なライセンス更新を防ぐ最大のポイントです。
IT資産は調達・導入・運用・廃棄というライフサイクルを持ちます。調達時の承認フロー、運用中の使用者変更・修理記録、廃棄時のデータ消去手順をプロセスとして整備することで、管理の抜け漏れを防げます。
調達フェーズでは、購入申請・承認・納品確認・資産台帳への登録を一連のフローとして整備します。この際、どの部門のどのプロジェクトのために調達したかを記録しておくことで、後から利用状況を確認しやすくなります。
廃棄フェーズでは、PCのデータ消去が最も重要な管理項目です。専用のデータ消去ツールを使った上書き消去か、物理的な破壊(HDDの穿孔・シュレッダー処理)を実施し、消去証明書を取得して保管します。廃棄処理を外部業者に委託する場合も、業者のデータ消去プロセスを確認した上で依頼します。
IT資産ごとのコストと実際の利用状況を対応させることで、コストパフォーマンスの評価が可能になります。SaaSでは月次の利用状況データを取得し、ライセンスの過不足を継続的に確認します。コストの可視化は、IT予算の策定と最適化に不可欠な情報です。
コスト可視化の際には、ライセンス費用だけでなく、導入・管理コスト(情シスの対応工数)、トレーニングコスト、関連するサポートサービスのコストも含めてTCO(総保有コスト)で評価することが重要です。安価なSaaSでも管理工数が大きい場合は、実質的なコストがより高いツールを超えることがあります。
参考: IT資産管理|情シス担当者が知っておくべき基本の「キ」 | フューチャーセキュアウェイブ
従来のIT資産管理の手法は、オンプレミス中心の時代に設計されたものが多く、SaaSが主流となった現在の環境では限界が生じています。情シス担当者がSaaS時代の特有の課題を理解し、対応策を講じることが求められます。
クレジットカードで即座に契約できるSaaSが増えたことで、情シスの承認なしに業務利用されるSaaSが増加しています。Assuredの2024年調査では、65.6%の企業でシャドーIT対策が実施されていないとされており、把握外のSaaSはセキュリティ評価も適用されず、データ流出リスクを含んだまま運用される状態が続きます。
シャドーITへの現実的な対処として、「禁止して抑制する」より「申請しやすくして管理下に置く」アプローチが効果的です。情シスへの申請フローを簡素化し、申請から承認までのリードタイムを短縮することで、従業員が正規の手続きを選びやすくなります。また、情シスが推奨するSaaSのカタログを整備し、業務目的に合ったSaaSを情シスが積極的に提案する体制を設けることも有効です。
ハードウェア資産管理とSaaS管理は従来、別々のツール・台帳で管理されてきました。しかし実際の運用では、「どのPCで誰がどのSaaSにアクセスしているか」を一元的に把握する必要があります。統合管理なしには、退職者の端末回収とアカウント削除を同時に確実に実行することが難しくなります。
ハードウェアとSaaSを統合管理するメリットは、「人・デバイス・SaaS」の3つを紐付けて管理できることです。ある社員が退職した際に、その社員が使っていたPCの回収と、その社員のSaaSアカウントの削除を同時に管理できる体制が整います。入社時も同様で、PC支給とSaaSアカウント発行を連動させることで、オンボーディングの工数を削減できます。
退職・異動時に、複数のSaaSのアカウント削除・権限変更を漏れなく実施するには、IT資産管理と人事情報の連携が必要です。手動対応では処理漏れが起きやすく、SaaSが30〜50種類になると退職者1人への対応だけで相当な工数がかかります。
退職者対応の漏れを防ぐには、人事システムとIT資産管理ツールを連携させ、退職情報が登録された時点で自動的に対応タスクが生成される仕組みを構築することが理想です。完全な自動化が難しい場合でも、対応すべきSaaSのチェックリストが自動生成される仕組みだけでも、手動対応の漏れを大幅に減らせます。
参考: IT資産管理とは?ツールの目的や活用メリット、選定ポイントを解説 | ヤマトシステム開発
IT資産管理ツールを支えるには、適切なツールの選定が必要です。管理対象・組織規模・現在の課題に合わせてツールを選びます。ツール選定の前に、自社の管理課題を整理しておくことで、要件に合ったツールを選びやすくなります。
2025年時点でのIT資産管理ツールは、大きく4種類に分けられます。IT資産管理に特化したツール(ハードウェア・ライセンス管理中心)、内部統制・監査対応機能を持つツール、セキュリティ対策機能を含むエンドポイント管理ツール、SaaS管理・ライフサイクル管理を統合したツールです。SaaSの利用が多い組織では、SaaS管理機能を備えたツールを選ぶことで、ハードウェアとSaaSの統合管理が可能になります。
ツールのタイプ選択の目安として、従業員が主にオフィスで固定PC・サーバーを使う環境であればハードウェア管理特化型が適しています。SaaSを多数利用するクラウドファーストな環境であれば、SaaS管理・ライフサイクル管理を統合したツールが適しています。セキュリティ対応を優先する場合は、EDRとの統合やMDM機能を持つエンドポイント管理ツールも選択肢になります。
ツール選定では、現在の課題だけでなく今後1〜2年の管理ニーズも見据えることが重要です。SaaS利用が今後も増える見通しであれば、SaaS管理機能の充実したツールを選ぶことで、追加投資なしに対応範囲を広げられます。
IT資産管理ツールを選定する際に確認すべき主な機能は、ハードウェア情報の自動収集機能(ネットワークスキャン・エージェント型)、SaaS利用状況の一元把握と棚卸し機能、人事システムとの連携(入社・退職・異動への自動対応)、権限管理の自動化とロール設定機能、ライセンスコスト管理と余剰ライセンスの検出機能の5点です。
デモや無料トライアルを活用して、実際の操作性と自社環境への適合性を確認することも重要です。特に「自社で使っているSaaSのインテグレーション数」は実用上の重要な指標で、対応していないSaaSが多いと、そのSaaSだけ別途手動管理が必要になります。
サポート体制とセキュリティへの配慮も確認ポイントです。IT資産管理ツール自体が多くのSaaSへのアクセス権を持つため、ツールのセキュリティが不十分だと単一障害点になりかねません。SOC 2 Type IIなどのセキュリティ認証の取得状況を確認します。
参考: IT資産管理ツール比較16選!図解でタイプ分けして紹介 | アスピック
JosysはハードウェアとSaaSの両方を一元管理できるプラットフォームです。デバイス・アカウント・SaaSの利用状況をひとつのダッシュボードで把握し、入社・退職・異動に連動したアカウント管理を自動実行できます。
350種類以上のクラウドサービスとの連携に対応しており、SaaSのシャドーIT検出・権限棚卸し・利用状況分析をJosys上で完結できます。IT資産の全体把握から個別の管理業務まで、情シスの工数を削減しながらセキュリティ水準を維持できる仕組みを提供します。
人事システムとの連携により、入社情報が登録された時点で対象者のSaaSアカウントを一括発行、退職情報が登録された時点でアカウントを一括無効化するプロセスを自動化できます。退職者アカウントの削除漏れという現場の頭痛の種を、仕組みとして解決できます。
IT資産管理の現状を整理したい場合は、まず自社のSaaS利用実態の棚卸しから着手してください。Josysの詳細資料は以下よりご確認ください。
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