SaaSアプリケーションの利用が拡大する中で、IT環境の運用体制として「集中型」と「分散型」のどちらを採用するかは、企業のIT戦略に大きな影響を与えます。それぞれのモデルには異なる利点と課題があり、自社の方針や業務ニーズに応じた最適な選択が求められます。
本記事では、両モデルの基本的な考え方とSaaS管理への影響について整理し、自社に適したIT運用モデルの判断材料を提供します。
集中型ITと分散型ITの概要
- 集中型IT
IT部門またはCIOなどが一元的に意思決定・管理を行うモデルです。ガバナンスや運用フローの統一が容易で、セキュリティやコンプライアンスの徹底が図れます。
- 分散型IT
各部門やチームが独自にIT環境を管理するモデルです。現場の判断で迅速にツールを導入できる柔軟性がありますが、ガバナンスやセキュリティの統制が難しくなる傾向があります。
どちらのモデルも、SaaSガバナンス、IT基盤、セキュリティ体制に影響を及ぼします。
集中型ITの特長と課題
集中型ITは、統一性やコントロールを重視する企業に適しています。
主な特長:
- ポリシーやセキュリティ対策の全社的な統一が可能
- Single Sign-On(SSO)や暗号化の一括適用によるセキュリティ強化
- 契約の一元管理によるライセンス費用の削減
- コンプライアンス要件への対応が容易(例:金融・医療業界)
主な課題:
- 意思決定に時間を要する傾向があり、現場対応の遅延につながる可能性
- 単一障害点のリスクが高く、障害発生時の影響範囲が広がりやすい
分散型ITの特長と課題
分散型ITは、迅速な意思決定と柔軟な運用を重視する組織に適しています。
主な特長:
- 各部門がニーズに応じて最適なツールを選定・導入可能
- システム障害が局所的に留まり、全体の業務継続性を確保しやすい
- チームの裁量拡大による業務効率化と創造性の促進
主な課題:
- SaaSツールの重複導入や非効率な契約管理によるコスト増加
- セキュリティやガバナンスの不統一により、統制が困難
- コンプライアンス対応が部門単位に依存し、全社的なリスク管理が困難
自社に適した運用モデルの選定ポイント
自社のSaaS運用に適したモデルを選ぶためには、以下の観点から検討することが重要です。
- SaaSツールの運用状況
多くのSaaSを導入している場合は集中型の方が管理しやすく、特定業務に特化したツールを用いる部門が多い場合は分散型の方が適しています。
- セキュリティ体制の優先度
厳格なセキュリティやコンプライアンスが求められる業界では、集中型が有効です。一方で、柔軟性や可用性を重視する場合は分散型も選択肢となります。
- 予算の制約
集中型はツールの集約や一括契約によりコストを抑えることが可能です。分散型は初期導入が迅速である反面、長期的に見てコストがかさむ可能性があります。
- 組織全体の運営方針
標準化とスケーラビリティを重視する企業には集中型が適しており、現場の創意工夫やスピード感を重視する場合には分散型が適しています。
- ハイブリッド型の活用
近年では、ガバナンスやセキュリティを集中管理しつつ、各部門には一定の裁量を持たせる「ハイブリッド型」を採用する企業も増えています。
Josysによる最適なIT運用モデルの実現
Josysは、集中型・分散型いずれの運用モデルにも対応可能な機能を備えており、組織に適したIT運用体制の構築を支援します。
- ガバナンス機能の強化
SaaS利用状況の一元管理により、全社的な統制と透明性を確保。
- セキュリティ体制の向上
ポリシー違反の検知やアクセス制御の自動化により、安全な運用を支援。
- コスト最適化の支援
重複ライセンスの可視化や未使用ツールの抽出により、無駄なコストを削減。
まとめ
集中型ITと分散型ITのいずれを選択するかは、企業の業種・規模・方針に応じて慎重に判断する必要があります。Josysを導入することで、ガバナンス強化・セキュリティ向上・コスト最適化を実現し、自社に適したIT運用モデルの確立を支援可能です。
集中型・分散型・ハイブリッド型いずれのアプローチにも柔軟に対応できるJosysを、SaaS運用の最適化にぜひご活用ください。
IT環境のセキュリティ強化には、アイデンティティ管理が不可欠です。詳しくは「そもそもアイデンティティとは?ID・アカウントとの違いは?」も参考にしてください。