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不正アクセス対策の完全ガイド|情シス担当者が今すぐ実施すべき防御策

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不正アクセスは、情報漏洩・ランサムウェア感染・業務停止といった重大インシデントの起点となる攻撃手口です。東京商工リサーチの調査では、2024年の上場企業の情報漏洩事故の約60%が不正アクセス・ウイルス感染を原因としています。

SaaSの普及で攻撃対象となるIDの数が増え続ける中、対策の優先順位と実施手順を正確に把握しておくことが情シス担当者の急務です。この記事では、不正アクセスの主な手口と、5つのステップで実施できる具体的な対策を解説します。

不正アクセスの被害実態と企業リスク

不正アクセスは情報セキュリティ事故の最大要因となっており、被害の実態とリスクの変化を把握しておく必要があります。近年の統計データは、攻撃件数・被害規模ともに増加の一途をたどっており、「うちは大丈夫」という根拠なき楽観論は通用しなくなっています。

国内の不正アクセス被害件数と傾向

サイバーセキュリティクラウドの調査によると、2024年の国内企業・自治体でのセキュリティインシデント件数は約2,164万件、約3日に1回の割合でインシデントが発生していました。2025年に入るとさらに悪化し、上半期だけで1,027件(前年同期比約1.8倍)を記録し、集計開始以来の過去最多を更新しています。インシデントの原因の最多は「不正アクセス」で、全体の6割以上を占めています。

東京商工リサーチの調査でも、2024年の上場企業の情報漏洩・紛失事故は189件、漏洩した個人情報は1,586万人分超に上りました。件数は4年連続で過去最多を更新しており、構造的に攻撃が増加していることを示しています。

不正アクセスが引き起こす二次被害

不正アクセスそのものよりも、その後に発生する二次被害が深刻です。侵入後に行われる機密情報の窃取・改ざん、ランサムウェアの展開、内部から社員へのフィッシングメール送信、長期間にわたる潜伏など被害は多岐にわたります。早期に検知できなければ、攻撃者がシステム内に長期滞在して情報を収集し続けるリスクがあります。

IPA「情報セキュリティ10大脅威2025」では、ランサムウェアが4年連続で1位にランクインしており、VPN機器の脆弱性やフィッシングで認証情報を窃取する手口が主流となっています。

SaaSが普及した現在の脅威の変化

従業員数1,000名以上の大手企業の52.3%が100種類以上のクラウドサービスを利用しており、1社あたりの平均は207種類という調査結果もあります。これだけの数のSaaSを個別に管理するのは、人的リソース上ほぼ不可能です。

SaaSのIDを乗っ取ることで社内の重要情報にアクセスする攻撃が増えており、IDaaSでの一元管理が進んでいない企業では、SaaSごとのID管理の漏れが発生しやすい状況です。認証情報を狙ったフィッシングやパスワードリスト攻撃は技術的な巧妙さを増しており、技術的対策を整備する必要性が高まっています。

参考: 大手企業の情シスが遭遇した、SaaS利用関連のリスクTOP10

参考: SaaS利用に関するセキュリティリスクを知る

不正アクセスの主な手口

手口を把握することで、優先すべき対策が明確になります。攻撃者の視点で自社の弱点を理解することが、実効性の高い防御策の選定につながります。ここでは特に被害の多い4つの手口を詳しく解説します。

パスワードリスト攻撃・ブルートフォース攻撃

他サービスから流出したID・パスワードを使って別のサービスにログインを試みるのがパスワードリスト攻撃(クレデンシャルスタッフィング)です。多くの人が複数サービスで同じパスワードを使い回しているため、1つのサービスでの漏洩が連鎖します。総務省の調査では、同じパスワードを複数のサービスで使い回している利用者が依然として多く、この攻撃の成功率を高めています。

ブルートフォース攻撃は総当たりでパスワードを試す手法で、単純なパスワードは数分で突破されます。8文字以下の数字とアルファベットの組み合わせは、現在の計算能力では非常に短時間で解読されます。ブルートフォース攻撃への基本的な対策として、ログイン試行回数の制限(アカウントロック)の設定が有効です。

対策として最も効果的なのは多要素認証(MFA)の導入です。MFAが設定されていれば、パスワードが漏洩・突破されても、第2の認証要素(スマートフォンの認証アプリ等)がない限りログインは成立しません。MFAの導入だけで、このカテゴリの攻撃の大半を無効化できます。

フィッシングによる認証情報の窃取

偽のログイン画面を作成し、ユーザーにIDとパスワードを入力させて盗む手口です。AI活用で精巧になった日本語フィッシングは、正規サービスと見分けがつかないほどの完成度になっています。特に2024〜2025年にかけて、生成AIを使った自然な日本語のフィッシングメールが急増しており、従業員がだまされるリスクが高まっています。

フィッシングの手口は多様化しており、メールだけでなくSMS(スミッシング)や音声通話(ビッシング)を組み合わせたマルチチャネルのフィッシングも増加しています。また、ビジネスメール詐欺(BEC)では、役員や取引先になりすましたメールで資金の送金や機密情報の提供を求めるケースが報告されています。MFAが未導入であれば、認証情報を盗まれた時点で不正ログインが成立します。

従業員向けのフィッシング訓練を定期実施することで、疑わしいメールを見分ける能力を高めることができます。技術的対策としては、メールフィルタリングの強化と、社内からのアクセス以外を制限するゼロトラストアーキテクチャの導入が有効です。

VPN・リモートデスクトップの脆弱性悪用

VPN機器やRDP(リモートデスクトッププロトコル)の脆弱性を利用した侵入は、ランサムウェア感染経路の約83%を占めるとされています。パッチが未適用のVPN機器は、脆弱性情報が公開された時点で攻撃のターゲットになります。実際に2024〜2025年に複数のVPN機器の脆弱性が悪用されており、パッチ適用の遅れが重大インシデントにつながっています。

RDPのデフォルトポート(3389番)を開けたまま運用していると、ポートスキャンで発見されブルートフォース攻撃を受けます。コロナ禍のリモートワーク普及時に急ごしらえで設置したVPNやRDP環境が、現在もセキュリティ上の死角になっているケースが多数確認されています。こうした「設定したまま放置されたインフラ」が攻撃者にとっての格好の侵入口です。

対策としては、VPN機器のファームウェアを常に最新に保つこと、RDPへのアクセスをVPN経由に限定すること、不要なポートを閉じること、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)への移行を検討することが挙げられます。

退職者・休眠アカウントの悪用

退職者のアカウントが削除されずに残存していると、元従業員が意図的に不正アクセスするリスクがあります。IPA「情報セキュリティ10大脅威2025」では内部不正が前年から順位を上げており、退職者による情報持ち出しが社会的な問題になっています。

攻撃者が休眠アカウントを乗っ取った場合、長期間使われていないアカウントへのアクセスは検知されにくく、静かに情報収集が続く可能性があります。SaaSが30〜50種類に上る企業では、退職者1人のアカウント削除処理だけで30〜50回の管理画面操作が必要になり、手動対応では漏れが生じやすくなります。Assuredの2024年調査では、65.6%の企業でシャドーIT対策が実施されておらず、把握外のSaaSに退職者アカウントが残存するリスクが広く存在しています。

参考: SaaSを利用する際のセキュリティリスクと企業に求められる対策

不正アクセスを招く企業の共通課題

被害を受けた企業の共通点を知ることで、自社のリスクを客観的に評価できます。「なぜ防げなかったのか」という視点で、インシデントが発生する構造的な原因を把握することが重要です。

MFA未導入のSaaS・社内システム

IDとパスワードだけで認証しているサービスは、認証情報が漏洩した時点で不正アクセスを許します。MFAを導入するだけで、パスワードリスト攻撃やフィッシングによる不正ログインの大半を防げます。費用対効果が最も高い対策であり、最優先で実施すべき施策です。

MFAの普及が進んでいるとはいえ、全社のすべてのSaaSにMFAが設定されているケースはまだ多くありません。特に、部署単位で個別契約したSaaSや、情シスが把握していないシャドーITには、MFAが設定されていない可能性が高いです。利用中のSaaSを全量把握した上で、MFAの設定状況を一括で確認・適用できる仕組みが必要です。

MFAの方式としては、TOTPを生成する認証アプリ(Google Authenticator、Microsoft Authenticator等)が多くの企業に適しています。SMS認証は利便性が高い一方でSIMスワップ攻撃に脆弱なため、重要システムにはアプリ型またはハードウェアトークンの利用を推奨します。

情シスが把握できていない野良SaaS

部門担当者が情シスに申請せず契約したシャドーITは、MFAの強制もセキュリティ設定の確認もできません。攻撃者は管理の甘いサービスを優先的に標的にするため、シャドーITが多いほど不正アクセスのリスクが高まります。Assuredの2025年調査では、セキュリティスコア70点未満のSaaSが依然として約27.4%存在するとされており、こうした低セキュリティのサービスがシャドーITとして利用されている状況は深刻です。

シャドーITが発生する理由の多くは、「情シスの承認プロセスに時間がかかる」「申請のやり方がわからない」といった業務上の理由であり、従業員の悪意ではありません。シャドーITを減らすには、申請・承認フローを簡素化し、情シスが認定した代替SaaSを提案する仕組みが有効です。

退職者アカウントの削除漏れ

退職者のアカウントを適切に削除しなければ、不正アクセスの起点になります。特に中途退職者や長期休職者のアカウントは見落とされやすく、SaaSの種類が多い企業では手動管理での対応が限界を迎えます。

退職処理のフローが属人化している場合、担当者の異動や繁忙期に処理が滞りやすくなります。人事部門と情シスの連携フローを整備し、退職確定から退職日までの期間にアカウント削除を確実に完了させる仕組みを構築することが求められます。理想的には、人事システムと連動してSaaSアカウントを自動削除するプロセスを設けることです。

パッチ管理の不備

利用中のシステムやソフトウェアを最新の状態に保てていない場合、既知の脆弱性を悪用した攻撃のターゲットになります。特にVPN機器・ファイアウォール・VPNクライアントは、脆弱性情報が公開されると即座に攻撃が始まるため、パッチ適用の優先順位を最上位に設定する必要があります。パッチ管理を自動化するツールを導入し、適用状況を常に可視化しておくことが現実的な対策です。

参考: SSPM製品の比較12選!SaaS利用時のセキュリティ対策に

不正アクセス対策の実施ステップ

情シス担当者が着手すべき対策を5つのステップで整理します。リスクの高い順に実施することで、限られたリソースで最大の効果を得られます。各ステップは独立して進められますが、順番通りに進めることで効率よく防御体制を構築できます。

ステップ1:利用中のシステム・SaaSの棚卸し

対策の起点は、守るべき対象を把握することです。現在社内で利用されているシステムとSaaSをすべてリストアップし、シャドーITを含めた全量を可視化します。各サービスについてMFAの有無、アクセス権限の設計、アクセスログの取得状況を確認します。

棚卸しの方法として、プロキシログの分析による社内からのアクセス先の洗い出し、クレジットカード明細の確認によるSaaS契約の把握が有効です。ネットワーク機器のログから、情シスが把握していない外部サービスへのアクセスを発見することも可能です。棚卸しの結果は台帳(スプレッドシートまたは専用ツール)で管理し、定期的に更新するプロセスを設けます。

棚卸しが完了したら、発見したSaaSを「承認済み・業務上必要」「承認済み・不要」「未承認(シャドーIT)」の3カテゴリに分類します。カテゴリ別に対応方針を決め、未承認のものは正式申請させるか利用停止を指示します。

ステップ2:MFA(多要素認証)の全サービス展開

把握したすべてのシステム・SaaSに対してMFAを有効化します。優先順位は①VPN・リモートアクセス環境、②業務上重要なSaaS(HRシステム・ファイル共有・コミュニケーションツール)、③その他のSaaSの順です。MFAの方式はTOTP(Authenticatorアプリ)が多くの企業に適しています。

MFAの全社展開に際しては、従業員向けの設定手順書を用意し、設定が完了していないユーザーへのフォローアップを計画的に実施します。MFAの設定率が100%になるまでを期限として設定し、進捗を管理します。IDaaSを導入することで、すべてのSaaSに対してMFAを一括で強制できる環境を構築できます。

フィッシング攻撃を考慮すると、TOTPよりも耐フィッシング性の高いFIDO2認証(パスキー)の導入を長期的に検討する価値があります。主要なクラウドサービス(Google Workspace、Microsoft 365等)はすでにパスキーに対応しており、段階的な移行が可能です。

ステップ3:最小権限の原則でアクセス権限を整理

「業務上必要な権限だけを付与する」最小権限の原則に基づき、各システム・SaaSの権限設定を見直します。管理者権限が多くの社員に付与されている場合は権限を絞り、役職・部門・業務内容に応じた権限設計を行います。半年に1回の定期棚卸しプロセスも合わせて確立します。

権限の見直しは、まず管理者権限の付与状況から始めることを推奨します。管理者権限は業務上真に必要なユーザーのみに限定し、その他のユーザーは一般権限に変更します。次に、異動・昇格・プロジェクト終了時に権限変更が適切に行われているかを確認し、不要な権限が蓄積していないかをチェックします。

権限の棚卸しは、部門責任者と協力して進めることが重要です。IT部門が一方的に権限を削除すると業務に支障をきたす場合があるため、部門側の承認を得ながら進めます。この際、権限の申請・承認フローを整備しておくことで、以後の権限変更を管理しやすくなります。

ステップ4:ログ監視とアラート設定

不正アクセスを早期検知するために、主要なシステム・SaaSのアクセスログを収集し、異常なパターン(深夜のログイン・海外IPからのアクセス・短時間での大量ダウンロード)に対してアラートを設定します。SIEMツールを導入することで、ログの一元管理と相関分析が可能になります。

ログ監視で特に注目すべき指標としては、通常とは異なる時間帯のアクセス、海外・普段使わない場所からのログイン、短時間での複数サービスへのアクセス試行(スプレー攻撃の兆候)、大量のファイルダウンロードやデータ転送が挙げられます。これらのパターンを自動検知してアラートを出す仕組みを整えることで、インシデントへの対応時間を短縮できます。

全SaaSのログを人手で確認するのは現実的ではないため、クラウドセキュリティ製品やSIEMを活用してログを集約し、自動的に異常を検出する体制を構築します。UEBA(ユーザー・エンティティ行動分析)機能を持つツールは、通常の行動パターンと比較して異常なアクセスを高精度で検出できます。

ステップ5:退職者アカウントの削除プロセス確立

退職が決まった時点で、対象者が利用しているシステム・SaaSのリストを作成し、退職日当日または前日にすべてのアカウントを無効化・削除するプロセスを確立します。手動対応では漏れが生じやすいため、SaaS管理ツールで自動化することが現実的です。

具体的なプロセスとして、人事部門から退職者情報が共有された時点でチェックリストを作成します。チェックリストには社内システム・SaaSごとのアカウント削除・無効化の担当者と期限を記載し、実施後に確認を取るフローを設けます。退職日以降もアクセスが続いていないかをログで確認する手順も含めます。

SaaS管理ツールを活用すると、人事システムと連動して退職者のSaaSアカウントを自動で無効化できます。これにより、SaaSの種類が増えても対応漏れが発生しにくくなり、情シスの対応工数も大幅に削減できます。

参考: SaaSアカウント管理の革命する、ジョーシスのご紹介

SaaS環境における不正アクセス対策の特論

SaaSが業務の中心になった現在の環境では、SaaS特有のリスクへの対策が必要です。従来のオンプレミス中心のセキュリティ対策をそのまま適用しても、SaaS環境では効果が限定的になります。SaaSの特性を踏まえた追加の対策を解説します。

IDaaSとSSOで認証を一元化する

複数のSaaSに個別IDでアクセスする環境では、ID管理が複雑になり漏れが生じやすくなります。IDaaSとSSOを組み合わせることで、すべてのSaaSへのアクセスを一元管理できます。IDaaSにMFAを設定すれば、すべてのSaaSに対して一括でMFAを強制できます

IDaaSの主な機能は、シングルサインオン(SSO)によるID集約・管理、MFAの強制・ポリシー設定、条件付きアクセス(IPアドレス・デバイス状態に基づくアクセス制御)、アクセスログの一元収集です。Microsoft Entra ID(旧Azure AD)、Okta、Google Workspaceのアイデンティティ機能などが代表的なIDaaSです。IDaaSの導入により、複数のSaaSに分散していた認証管理が一元化され、セキュリティ水準を均一に保てます。

IDaaSの導入は初期設定の工数がかかりますが、導入後は各SaaSのID管理工数が大幅に削減されます。特に社員が数百人以上の組織では、IDaaSなしのSaaS管理は事実上困難になってきています。

SaaS設定のセキュリティ診断(SSPM)

SSPMは、SaaSのセキュリティ設定を継続的に診断・評価するツールです。退職者のアカウントが残っていないか、MFAが有効化されているか、公開設定が適切かなどを定期的に検知・通知します。SaaSの種類が多い企業では、SSPMによる自動診断が効果的です。

SSPMの主な検知項目としては、MFA未設定のアクセス、過剰な共有設定(社外に公開されているドキュメント等)、退職者のアカウント残存、管理者権限の過剰付与、定期アクセスのないアカウント(休眠アカウント)などがあります。定期的なSSPMの診断により、人手による確認では見落としやすいリスクを早期に発見できます。

シャドーITの発見と統制

プロキシログやCASBを活用してシャドーITを発見します。発見後は、①業務上必要なものは正式申請させて管理下に置く、②不要なものはアクセスをブロックする、③代替として情シスが認定したSaaSを提案する、という対応が現実的です。シャドーIT対策の実態調査では、「利用サービスの可視化ができていない」という課題が35.9%の企業で挙げられており、まず可視化を確立することが先決です。

シャドーIT対策のポリシーを策定する際は、従業員が守りやすいルールにすることが重要です。過度に制限的なポリシーは従業員のシャドーITへの依存を強め、かえって管理が難しくなります。承認プロセスを簡素化し、業務に必要なSaaSを速やかに申請・導入できる仕組みを整えることで、シャドーITを減らす効果があります。

ゼロトラストセキュリティへの移行

従来の境界型セキュリティ(社内=安全、社外=危険)の考え方は、クラウド・リモートワーク時代に限界を迎えています。ゼロトラストアーキテクチャでは「すべてのアクセスを疑い、検証する」原則に基づき、社内からのアクセスでも常に認証・認可を求めます。ゼロトラストの導入は大規模な取り組みですが、MFAの全社展開・IDaaSの導入・最小権限の徹底から段階的に始めることができます。

参考: SaaSのセキュリティの課題は?社内で行うべきセキュリティについて

インシデント発生時の対応フロー

不正アクセスが発生した際の初動対応を事前に把握しておくことで、被害の拡大を最小限に抑えられます。インシデント対応は事前に手順を文書化しておくことが重要で、発生時に慌てて判断しなくて済む体制を作っておくことがポイントです。

不正アクセスを検知したら最初に行うこと

侵害されたアカウントのパスワードを即時リセットし、当該アカウントを無効化します。同じ認証情報を使用している他のサービスも確認し、影響範囲を特定します。被害が進行している可能性がある場合は、当該システムをネットワークから切り離すことも検討します。経営層への報告と、必要に応じて外部セキュリティ専門家への連絡を行います。

初動対応でもう一つ重要なのが、証拠となるログの保全です。アクセスログ・認証ログ・操作ログを削除・上書きされないよう保全し、後のフォレンジック調査に備えます。ログが適切に取得・保存されていない場合、被害範囲の特定が困難になり、原因の追究と再発防止策の立案にも支障をきたします。

被害範囲の特定と証拠保全

侵害されたアカウントがアクセスしたシステム・データの範囲をアクセスログで特定します。どのデータにいつ誰がアクセスしたかを時系列で追い、漏洩した可能性のある情報の種類・件数を把握します。証拠となるログを削除・上書きしないよう注意し、フォレンジック調査が必要な場合は専門会社に依頼します。

被害範囲が顧客情報・個人情報に及んでいる場合は、個人情報保護法に基づく報告義務が発生します。漏洩が発覚してから72時間以内に個人情報保護委員会への速報が義務であり、対応フローに含めておく必要があります。

 復旧後の再発防止策の実施

侵害の原因を特定し、侵入経路となったVPN機器のパッチ適用、メールフィルタリング強化、MFAの全社展開など、原因に対応した具体的な施策を講じます。インシデントの振り返りを関係者で実施し、検知から対応までの各フェーズで改善点を洗い出します。

再発防止策を実施した後は、その効果を定期的に確認します。ペネトレーションテストや脆弱性診断を活用して、対策が機能しているかを第三者視点で検証することも有効です。インシデントを教訓として組織のセキュリティ水準を継続的に向上させるサイクルを確立します。

参考: 2024年のインシデント事例まとめ&2025年に注意すべき脅威とは?

不正アクセス対策のチェックリスト

不正アクセス対策のチェックリスト

情シス担当者が自社の対策状況を確認するためのチェックリストです。未実施の項目から優先度の高いものを選んで計画的に対応してください。

認証・アクセス管理の確認項目

社内で利用しているすべてのSaaS・システムをリスト化できているか確認します。次に、リストアップしたすべてのサービスに対してMFAが設定されているか確認します。管理者権限が最小限のユーザーにのみ付与されているか、過去6カ月以内にアクセス権限の棚卸しを実施しているかも確認ポイントです。

退職者・異動者のアカウント処理が退職日当日に完了していることを確認します。特に過去1年の退職者についてSaaSアカウントが全て削除されているかを確認すると、これまでの管理漏れを把握できます。

技術的対策の確認項目

VPN機器・ファイアウォール・主要なサーバーのパッチが最新の状態であるかを確認します。主要システムのアクセスログが取得・保存されており、異常なアクセスを検知するアラートが設定されているかも確認が必要です。

エンドポイントにEDRが導入されており、マルウェア感染を早期検知できる体制が整っているかを確認します。プロキシやCASBを活用してシャドーITの利用状況を把握できているかも重要な確認ポイントです。

プロセス・体制の確認項目

不正アクセス発生時の対応フローが文書化されており、関係者が内容を把握しているかを確認します。従業員向けのセキュリティ教育・フィッシング訓練を過去1年以内に実施しているかも確認します。情シスと人事部門の退職者情報の連携フローが整備されており、退職者のアカウント削除が自動的にトリガーされる仕組みがあるかも重要です。

参考: 増え続けるSaaSアカウント。効率よく管理する方法は?

SaaSアカウント管理の革命する、ジョーシスのご紹介

JosysによるSaaSアカウント管理でリスクを最小化

不正アクセスの多くはSaaSのID管理の不備から発生します。Josysを活用することで、SaaS管理の自動化と不正アクセスリスクの低減を同時に実現できます。

利用SaaSの全量可視化と棚卸し自動化

Josysは社内で利用されているSaaSを一元的に可視化します。シャドーITの発見から各SaaSのアカウント数・アクセス権限の状況把握まで、棚卸しを大幅に効率化します。350種類以上のSaaSとのインテグレーションに対応しており、主要なビジネスツールの管理状況をダッシュボードで一覧確認できます。

可視化されたSaaSの一覧から、セキュリティ上の問題があるアカウント(MFA未設定・長期間未アクセス・過剰な権限)を優先して対応することができます。手動でのSaaS棚卸しは数日から数週間かかる作業ですが、Josysを導入することでリアルタイムに把握できる体制を構築できます。

入退社に連動したアカウント発行・削除の自動化

入退社・異動の情報と連動して、SaaSアカウントの発行・削除・権限変更を自動化できます。退職日に合わせたアカウント自動無効化で、手動対応の漏れをなくし、退職後の不正アクセスリスクを排除します。人事システムと連携することで、退職者情報を受け取ったタイミングで自動的にアカウント削除処理が開始されます。

アカウント発行も自動化されるため、入社時のSaaSアカウント設定にかかる情シスの工数も削減できます。役職・部門に応じたアクセス権限テンプレートを事前に設定しておくことで、適切な権限でのアカウント発行が自動で完了します。

アクセス権限レポートで定期監査を効率化

定期的なアクセス権限の棚卸しに必要なレポートを自動生成します。部門別・個人別のアクセス権限一覧を定期出力し、過剰な権限の発見・修正サイクルを効率化します。半期に一度の権限棚卸しを自動化することで、情シスの工数を削減しながら管理水準を維持できます。

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参考: 増え続けるSaaSアカウント。効率よく管理する方法は?

SaaSアカウント管理の革命する、ジョーシスのご紹介

まとめ

不正アクセスの主な手口はパスワードリスト攻撃・フィッシング・VPN脆弱性の悪用・退職者アカウントの悪用の4つです。2025年上半期のインシデント件数は前年同期比1.8倍と増加が続いており、対策を後回しにできる状況ではありません。対策の基本はMFAの全サービス展開、最小権限によるアクセス権限整理、退職者アカウントの即時削除の3点です。SaaS利用が拡大した現在の環境では、利用SaaSの全量把握と自動化が不正アクセス対策の実効性を左右します。5つのステップに分けて着実に実施することで、限られたリソースでも実効性のある防御体制を構築できます。

Josysで不正アクセスのリスクを根本から断つ

JosysはSaaS可視化・アカウント管理・アクセス権限の自動制御を通じて、不正アクセスリスクを低減するSaaS管理プラットフォームです。運用負荷を下げながら、セキュリティ水準を劇的に向上させます。

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