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クラウド利用が業務インフラの中核となった企業ほど、「次に整備すべきセキュリティ対策は何か」と検討する機会が増えています。AWSやAzure、Microsoft 365、Salesforceといったクラウドが毎日の業務基盤になり、データの保管場所も認証の経路もクラウド側へと移りました。
しかし、クラウド事業者が物理基盤の堅牢性を担保していても、設定不備、アクセス権限の放置、シャドーIT、APIキーの流出といった「利用者責任の領域」で事故が頻発しています。総務省や経済産業省も、クラウド利用の急拡大に応じて企業向けガイドラインを更新し続けています。
企業がクラウド時代に取り組むべきセキュリティ対策を、ガバナンス・技術・運用の3レイヤーから整理します。CASB・CSPM・IDaaS・SASEといった主要ソリューションの位置付け、対策の優先順位、推進体制の作り方、運用のチェックポイントまでを情シス・セキュリティ責任者向けに解説します。
クラウドが業務の中心になったいま、セキュリティ対策の対象を「社内ネットワーク」から「クラウドを含む業務全体」へ広げる必要があります。社員のアクセス起点も、PCのファイル保管も、業務SaaSの認証も、すべてクラウド側に分散しているためです。
加えて、クラウド利用の拡大とともにシャドーITが増殖し、情シスが把握していないSaaSやAIサービスから機密情報が外に出るリスクが高まっています。クラウド管理の複雑化に伴い、情シスが実態を把握しにくいケースが増えています。
法令・規制の側面でも、改正個人情報保護法、ISO 27017/27018、ISMAP、業界ガイドライン(金融・医療・公共)など、クラウド利用を前提とした統制要件が増加中です。対策強化は「セキュリティ事故防止」だけでなく、「事業継続と取引先からの信頼確保」の観点でも避けて通れません。
参考:Cloud Security Alliance「State of Cloud Security 2024」
参考:経済産業省「クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」
クラウドセキュリティ対策は、ガバナンスレイヤー、技術レイヤー、運用レイヤーの3層で整理すると、検討の漏れを防げます。それぞれが独立せず、相互に補完し合う構造になっている点がポイントです。
最上位に位置するのが、企業全体としてクラウド利用の方針と統制を定めるレイヤーです。具体的には、以下のような取り組みが含まれます。
ガバナンスが整わないまま技術対策に進んでも、運用が個別最適に陥り、効果が限定的になります。
ガバナンスを実装する手段として、CASB・CSPM・SASE・IDaaS・DLP・暗号化などのテクノロジーを選定・配備するレイヤーです。脅威カテゴリと対策製品の対応関係を整理し、優先順位をつけて段階的に導入します。
導入したテクノロジーを継続的に活かすための運用設計です。アラートトリアージ、インシデント対応、定期的なアクセスレビュー、SaaS新規導入時のリスク評価フローなどが含まれます。属人化を避け、SOPやチェックリストとしてドキュメント化することが重要です。
参考:NIST Cybersecurity Framework 2.0
参考:Microsoft Cloud Adoption Framework
ガバナンスレイヤーで企業が押さえるべき対策を整理します。経営判断と現場運用の橋渡しになる領域だけに、ドキュメント化と社内合意形成がそのまま実効性を左右します。
利用してよいクラウドサービスのカテゴリ、データ分類別の取り扱いルール、ベンダー評価基準、購買承認プロセスを明文化します。新規SaaS導入時の判断基準を統一することで、シャドーIT発生を未然に防ぎます。
社内で扱うデータを「公開」「社内限定」「機密」「最重要機密」などに分類し、各分類に応じてクラウドへの保管可否、暗号化要件、アクセス制限を定めます。ISO 27001やNISTのリスクマネジメントフレームワークが参考になります。
利用するクラウドベンダーのセキュリティ水準を継続的に評価する仕組みです。SOC 2 Type II、ISO 27017/27018、ISMAP登録の有無、SLA、データ保管リージョンなどを評価項目とします。年次のベンダーレビューを制度化する企業が増えています。
クラウド事業者障害、ランサムウェア、設定ミスによる漏えいなどを想定した対応計画を整備します。CSIRT体制、初動フロー、外部通報義務(個人情報保護委員会等)、広報対応のテンプレートを準備しておくと、有事の対応速度が上がります。
参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」
ガバナンスを実装する技術レイヤーには、複数のソリューションカテゴリがあります。すべてを同時に揃える必要はなく、自社の利用実態とリスクから優先順位をつけて段階導入する方針が現実的です。
SSO・MFA・条件付きアクセス・アクセスレビューを担う基盤です。クラウド時代のセキュリティで最も中心となるレイヤーで、ここが弱いと他の対策が機能しません。Microsoft Entra ID、Okta、Microsoft Entra ID Governance、SailPointなどが代表的です。
SaaS利用の可視化、シャドーIT検出、DLP、不正アクセス検知を提供します。Microsoft Defender for Cloud Apps、Netskope、Zscalerなどが主要ベンダーです。
AWS・Azure・GCPの設定ミスを継続スキャンし、CIS BenchmarkやNIST準拠の状態を維持します。Wiz、Prisma Cloud、Microsoft Defender for Cloudなどが代表的です。
リモートワーク時代の主流となる、ネットワーク+セキュリティの統合配信モデルです。SWG・CASB・ZTNA・FWaaSをまとめてクラウド配信します。Zscaler、Netskope、Palo Alto Networks、Cloudflareなどが代表ベンダーです。
機密データの検知・分類・流出防御を行うDLPと、データ暗号化(KMS/HSM)を組み合わせます。SaaS統合型(Microsoft Purview、Forcepoint)、エンタープライズDLP(Symantec、Trellix)の選択肢があります。
PCやサーバー、クラウドワークロードでの不審な挙動を検知し対応する仕組みです。CrowdStrike、Microsoft Defender for Endpoint、SentinelOneなどが主要製品です。
参考:Gartner「Magic Quadrant for Security Service Edge」
参考:Forrester Wave: Cloud Security Posture Management
技術対策の中でも、SaaS領域に絞った対策は早期に効果が出やすい領域です。業務データの大半がSaaSに集中しているため、SaaSの可視化・統制を整えるだけで、漏えいリスクと内部不正リスクを大きく下げられます。
SaaS統合管理プラットフォーム(SaaS Management Platform、SMP)は、API連携によって複数のSaaSアカウント・利用状況・コストを一元管理する仕組みです。CASBがネットワーク側からの可視化を担うのに対し、SMPはアカウント・ライフサイクル側からのガバナンスを担います。
SMPやアイデンティティガバナンスで対応できる対策は次のとおりです。
これらは「セキュリティ対策」と「コスト削減」を同時に実現できる領域として、経営層の合意を得やすい施策です。
参考:Forrester「The State of SaaS Management 2024」
技術ソリューションを導入しても、運用フローが整わなければ効果は半減します。日々の運用を回し続けるために押さえるべきポイントを整理します。
CASB、CSPM、SIEMなどから出力される膨大なアラートをトリアージするフローが必要です。SOAR(Security Orchestration, Automation and Response)を活用すると、定型対応の自動化と対応時間短縮を両立できます。
四半期または半期単位で、全社員の保有権限を上長やデータオーナーがレビューする運用を整えます。IGA製品のアクセス認証機能を活用し、レビュー結果を自動で取り消し処理に反映させると、運用負荷を抑えられます。
各部門がSaaS導入を希望する際の評価フローを定義します。データ機密度、ベンダーセキュリティ評価、SSO/MFA対応可否、契約条件などをチェックリスト化し、購買承認の前提とします。
ランサムウェア、フィッシング、設定ミスによる漏えいなどのシナリオで、年1〜2回の訓練を実施します。経営層・情シス・広報・法務を含めた机上演習が、実戦で動ける体制づくりに直結します。
参考:JPCERT/CC「インシデントハンドリングマニュアル」
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「何から着手すべきか」は企業の規模・業種・成熟度によって異なりますが、汎用性の高い優先順位の考え方を整理します。
MFA有効化、特権アカウント管理、退職者アカウントの自動取り消しを最優先で着手します。これらが整わないと、他の対策があってもクラウド全体のセキュリティが破綻します。
CASBやSaaS統合管理プラットフォームで、利用クラウド・SaaSの全貌を把握します。把握できないものは守れないため、可視化はガバナンス整備の前提になります。
IaaS・PaaSを多用している場合は、CSPMによる継続的な構成監視を組み込みます。SaaS主体の場合は、SaaSの設定セキュリティ機能(Microsoft Secure Score、Salesforce Health Checkなど)の定期チェックから着手するのが現実的です。
機密データを扱うフローを特定し、DLPと暗号化を該当領域に集中投資します。全社一律の重武装ではなく、リスク密度の高い領域から段階導入する方が継続しやすくなります。
リモートワーク主体で拠点間VPNが負担になっている場合は、SASE/SSEへの統合を検討します。ネットワーク刷新と同時に進めることで、変更コストを抑えられます。
社内検討やベンダー比較で頻出する用語を整理します。
優先順位の最初に位置するのが、アイデンティティとSaaSアカウントの統制です。ここを軽量に整える起点として、SaaS統合管理プラットフォームが選ばれています。
ジョーシスのプラットフォームは、350以上のSaaSアプリとAPI連携してアカウントを一元管理し、入退社・人事異動と連動した自動プロビジョニング、退職者アカウントの自動取り消し、シャドーIT検出、ライセンス最適化までを統合的に提供します。国内外700社以上で導入され、IT工数を最大50%削減・ITコストを最大75%削減した事例があります(効果は個社の状況により異なります)。
CASB/CSPMといった専用ツールと並行して、SaaS層のアイデンティティガバナンスを軽量に整える「企業のクラウドセキュリティ対策の起点」として活用いただけます。導入のしやすさと運用負荷の低さを両立させたい中堅・中小企業から大手まで、幅広い導入実績があります。
MFA有効化、特権アカウント管理、退職者アカウントの自動取り消しの3点が最優先です。これに加え、SaaS統合管理プラットフォームで利用SaaSの可視化を進めることで、主要なリスクの一部を低減できます。
両者は守備範囲が異なるため、併用が効果的なケースが多いといえます。CASBは「ネットワーク経路上の可視化と制御」、SaaS統合管理プラットフォームは「アカウントとライフサイクルの統制」を担うため、補完関係になります。
IaaS/PaaSの利用度合いと、リモートワーク・拠点間通信の規模次第です。SaaS主体・拠点が少ない環境では、IDaaSとSaaS統合管理を中心に整え、CSPMやSASEは段階的に検討するアプローチが現実的です。
「事故発生時の損害額」「監査・規制対応の必要工数」「シャドーITやライセンス重複によるコスト損失」を試算し、対策投資のROIとして経営層に提示する手順が一般的です。SaaS統合管理プラットフォームのように、コスト削減と統制強化を同時に実現できる施策は経営合意を得やすい傾向にあります。
責任共有モデルとは、クラウド事業者と利用者の間でセキュリティ責任の範囲を分担する考え方です。物理インフラや仮想化基盤の保護はクラウド事業者が担いますが、OSやアプリケーション、データの保護、アクセス権限の管理は利用者側の責任となります。IaaS・PaaS・SaaSでは責任の境界が異なるため、自社の利用形態に応じて担当範囲を明文化しておくことが対策設計の出発点になります。
クラウドセキュリティ対策は、ガバナンス・技術・運用の3レイヤーをバランスよく整え、優先順位をつけて段階的に強化していくアプローチが現実的です。すべてを一度に揃えようとすると、コストと運用負荷が肥大化して頓挫します。
最優先はアイデンティティ起点の対策とシャドーITの可視化です。MFA・特権管理・退職者アカウント自動取り消しを土台に据え、CASB/CSPM/SASEといった専用ソリューションを段階的に重ねていく構成が、中長期で持続可能な姿になります。
SaaSが業務の中心になっている企業では、SaaS統合管理プラットフォームによる軽量なIGA・可視化が、対策強化の起点として有効です。ジョーシスは、SaaS層の統制とコスト最適化を一体化した国内発のプラットフォームとして、多くの情シス部門に導入されています。まずは資料ダウンロードや無料デモで、自社の対策ロードマップに当てはめたときの活用イメージを確認してみてください。
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