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リモートワークとSaaSの定着で「社内ネットワーク内なら安全」という前提が崩れ、ゼロトラスト型のセキュリティモデルへの移行を検討する組織が急速に増えています。
しかし「ゼロトラスト製品をすべて入れ替える」と聞いて尻込みする情シス担当者も多く、何から手をつければよいかが見えないまま検討が止まっているケースも珍しくありません。ゼロトラストは概念であり、段階的に積み上げる進め方こそが現実解です。
本記事ではゼロトラスト導入を6つの実行ステップに分解し、優先順位の付け方、各ステップで使う代表的なツール、SaaS管理プラットフォームとの組み合わせまで、情シスがロードマップに落とし込むための材料を整理します。
ゼロトラスト導入の旗振り役を担う情報システム部門・セキュリティ責任者の方を主な読者として想定しています。
ゼロトラストはネットワークの内部・外部を問わず、すべてのアクセスを信頼せずに検証し続けるセキュリティモデルです。米国Forrester Researchのジョン・キンダーバーグ氏が2010年に提唱し、2020年代にクラウド・SaaS・リモートワークの普及を背景に主流の考え方になりました。
従来型の「境界防御モデル」は社内ネットワークを安全圏、外部を危険圏として扱う前提で設計されていました。ゼロトラストはこの境界だけへの依存をやめ、ユーザー・デバイス・アプリケーション・データの各層で都度認証・認可を行う方式に切り替えます。
クラウドSaaSの利用拡大、リモートワーク常態化、ランサムウェア被害の急増という3つの環境変化により、社内ネットワーク境界を防御線にする発想が機能しなくなりました。境界の代わりに「アイデンティティが新しい境界」と位置づけ、IDとアクセスの統制を中心にセキュリティを再設計するのがゼロトラストの基本姿勢です。
ゼロトラスト導入は「ID統制→デバイス統制→ネットワーク再設計→アプリ・データ保護→ログ統合→運用最適化」の6ステップで進めるのが、本記事で整理する実務上の取り組みやすいロードマップです。1段ずつ価値を出しながら積み上げる前提で計画します。
最初に取り組むのがID統制です。Microsoft Entra ID、Okta、HENNGE OneなどのIDaaSを導入し、SSOで主要SaaSのログイン窓口を統一したうえで、多要素認証(MFA)を全社展開します。
退職者アカウントの無効化(IdP上での停止)、特権アカウントへの追加認証、レガシー認証プロトコルのブロックは初期フェーズの優先項目です。これらを整備することで、侵入リスクを下げやすくなります。
次にデバイス側の統制に進みます。Microsoft IntuneやJamf、Omnissa Workspace ONEなどのMDM(Mobile Device Management)を入れ、社用デバイスの構成・暗号化・パッチ適用を一元管理します。
並行してEDR(Endpoint Detection and Response)製品で、不審な挙動の検知と対応を自動化します。条件付きアクセスと組み合わせれば、未管理デバイスからの機密データアクセスをブロックできます。
VPN中心の構成からZTNA(Zero Trust Network Access)への移行を進めます。Zscaler、Cloudflare Access、Cisco Duoなどのソリューションを使い、アプリケーションごとに最小権限のアクセスを許可する方式に切り替えます。
通信の出入口をクラウドプロキシに統合してSWG・CASB・FWaaSを束ねるSASE(Secure Access Service Edge)アーキテクチャを採用すると、本社・拠点・在宅を一貫して保護できます。
SaaSや内製アプリへのアクセスをCASB(Cloud Access Security Broker)やDLP(Data Loss Prevention)で監視・制御します。機密データの分類とラベリング、外部共有の自動検知、未認可SaaSの利用ブロックといった具体策が中心になります。
ファイル単位での暗号化や情報権利管理(IRM)も、要件に応じて段階的に組み合わせます。
各製品が出力するログをSIEM(Security Information and Event Management)に集約し、相関分析と異常検知を回します。Microsoft Sentinel、Splunk、Datadog Cloud SIEMなどが代表的です。
UEBA(User Entity Behavior Analytics)機能で、通常パターンから外れた挙動を自動的にアラート化できると、SOC運用の負荷が大きく下がります。
ゼロトラストは入れて終わりではなく、ポリシーの定期見直し、アクセスレビュー、ペネトレーションテストを通じて継続的に磨き続ける運用です。四半期ごとに棚卸しを実施し、形骸化を防ぐ仕組みを最初から組み込んでおくのが推奨されます。
参考:ゼロトラストの導入方法:5つのステップ - Cato Networks
導入プロジェクトが頓挫する典型パターンを把握しておくと、計画段階でリスクを回避できます。情シスが特に注意すべきポイントを3つ紹介します。
「ゼロトラスト=大量の新製品導入」と捉えてしまうと、半年でツール疲れを起こします。ID統制から1ステップずつ価値を出しながら進める方が、現場の理解と運用定着の両方で成果につながりやすくなります。
既存のVPN、ファイアウォール、認証基盤を一気に廃止しようとすると、引き継ぎ漏れで業務停止リスクが顕在化します。並行運用期間を3〜6か月確保し、段階的に旧基盤を縮退させる進め方が安全です。
ゼロトラストはユーザー体験を変える施策が多く(MFA要求の増加、未管理デバイスのブロックなど)、現場部門の協力がないと運用が空洞化します。経営層と部門責任者を巻き込み、変更管理を計画段階から組み込むのが鉄則です。
ゼロトラスト型に移行することで、セキュリティ・運用効率・コンプライアンスの3軸で成果が現れます。導入提案時の論点整理にも活用できます。
ランサムウェア・標的型攻撃・退職者による情報持ち出しといった代表的な脅威に対して、ID・デバイス・ネットワーク・データの各層で多重防御が機能します。1つの突破では全体が落ちない構造になります。
VPNの帯域逼迫やパスワードリセット問い合わせの削減で、情シスの運用工数が減ります。MFAと条件付きアクセスにより、リモートワーカーの認証ストレスも実は減るケースが多いという報告もあります。
J-SOX、ISMS、SOC 2、PCI DSSといった監査要件に対し、ゼロトラスト基盤のログを使えば証跡取得とアクセスレビューが標準化されます。監査時の資料作成工数も大きく削減できます。
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ゼロトラストはアクセス制御を統一しますが、SaaSの利用状況、ライセンスコスト、契約・更新管理、シャドーITの可視化といったSaaS固有のライフサイクルまでは守備範囲外です。SaaS数が30を超える組織では、ゼロトラスト基盤とSaaS管理プラットフォーム(SMP)の組み合わせ運用が現実解になります。
ゼロトラスト基盤はアクセス可否は判断できますが、ライセンスの利用率や有償ライセンスの過剰契約までは追えません。年間SaaS支出の最適化には別の仕組みが必要です。
部門が情シスに無断で契約したSaaSは、ゼロトラスト基盤の管理対象に入ってきません。クレジットカード明細やSaaS購買データを横断的に取得する仕組みが必要になります。
SaaSごとの契約期間、解約タイミング、更新前のコスト比較といった商務情報はゼロトラスト基盤の対象外です。契約書管理と利用実態の突き合わせをセットで運用する必要があります。
ジョーシスのプラットフォームは350以上のSaaS連携を備え、認証管理・アカウント発行削除・ライセンス最適化など、ゼロトラスト基盤がカバーしないSaaSライフサイクルを横断管理できる設計です。国内外700社以上の導入実績があり、IT工数を最大50%、ITコストを最大75%削減した事例も報告されています。
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検討フェーズで担当者から多く寄せられる質問を整理しました。
ゼロトラスト導入はID統制・デバイス統制・ネットワーク再設計・アプリ/データ保護・ログ統合・運用最適化の6ステップで段階的に進めるのが現実解です。最初に取り組むべきはIDaaSとMFAによるID統制で、ここを固めるだけでも攻撃面を大幅に絞り込めます。
ただしゼロトラスト基盤だけではSaaSのライセンス管理やシャドーIT可視化までは届かないため、SaaS管理プラットフォームとの組み合わせ運用が現実解になります。自社のSaaS環境を統合的に整備したい場合は、5分でわかるJosysから検討を始めるのが近道です。
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