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ID管理ツール比較|情シス向け主要6製品と選び方【2026年】

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従業員の入社・異動・退職のたびに、複数のシステムでアカウントを手作業で作り直し、削除の抜け漏れに冷や汗をかく。使われていないアカウントの所在も追いきれない。SaaSとクラウドが増えた組織では、こうしたID管理の綻びが日常になりつつあります。

この負担を仕組みで解くのがID管理ツールです。ただ、製品は認証寄りからガバナンス寄りまで幅広く、機能も提供形態もばらばらで、自社に合う一本を選び抜くのは容易ではありません。

ID管理ツールの種類と選定軸、主要6製品の特徴、環境別の選び方、導入から棚卸し運用の定着までを整理します。従業員300〜2,000名規模で、情シスや内部統制を担う方に向けた内容です。

ID管理ツールとは|IDaaSやSaaS管理との違い

ID管理ツールは、社内外のシステムに散らばる従業員のアカウントと権限を一元的に把握し、作成・変更・削除のライフサイクルを統制する仕組みです。人の入退社に合わせてIDを動かし、誰が何にアクセスできるかを監査可能な状態に保つことを目的とします。

混同されやすいのがIDaaSとの違いです。IDaaSはシングルサインオンや多要素認証など「認証」を担う基盤で、ID管理ツールは人事情報を起点にアカウントを自動で払い出し、棚卸しや権限レビューまでを担う「ガバナンス」側に軸足があります。両者は競合ではなく、補完し合う関係です。

SaaS管理プラットフォームも近い領域ですが、こちらはSaaSの利用実態・ライセンス・コストの可視化に強みを持ちます。ID・アカウントの統制を主眼に置くのがID管理ツールです。

関連記事:アイデンティティ管理とは|SaaS時代に情シスが押さえるべき基本と実装フレームワーク

ID管理ツールが必要になる場面と3つのタイプ

導入の必要性は、手作業のID管理が限界に達したサインとして現れます。自社がどの場面に当てはまるかを見極めると、必要なタイプも自然と絞り込めます。

代表的なきっかけは、入退社の対応漏れによるアカウント放置、複数SaaSでの権限のばらつき、J-SOXやISMSの監査で「誰がいつ何にアクセスできたか」の証跡を求められる場面です。いずれも人手のExcel台帳では追いつかなくなった段階で顕在化します。

ID管理ツールは、担う範囲によって大きく3つのタイプに分けられます。自社の課題がどこにあるかで、選ぶべきタイプが変わります。

  • 一元管理型: 社内に散在するアカウント情報を集約し、可視化とSSO連携に対応するタイプ
  • ライフサイクル管理型: 一元管理に加え、人事イベントに応じてアカウントを自動で作成・更新・削除するタイプ
  • ガバナンス型: 権限付与や特権ID管理、アクセスレビューまで踏み込み、内部統制と監査に応えるタイプ

入退社の工数削減が主目的ならライフサイクル管理型、監査対応や権限の過剰付与の是正が主目的ならガバナンス型、まず可視化から始めたいなら一元管理型が入口になります。

参考記事:ID管理システム比較16選|目的・機能別で紹介(ITトレンド)

関連記事:孤立アカウントとは|定義・セキュリティリスク・発見方法・削除手順を解説

ID管理ツール比較で押さえる7つの選定軸

製品を比べ始める前に、評価軸を先に決めておくと判断がぶれません。以下の7つを自社の優先順位で重み付けすれば、機能の違いが同じ物差しで見えてきます。

人事システムとの連携方式

ID管理の起点は人事情報です。人事システムやHCMからCSV・API・データベース経由で従業員情報を取り込め、入社・異動・休職・退職のイベントを自動反映できるかを確認します。ここが弱いと手作業が残ります。

自動プロビジョニングの対象範囲

Active Directory、Microsoft Entra ID、クラウドSaaSのどこまでアカウントを自動で払い出し・削除できるかを見ます。SCIMやLDAPへの対応と連携アプリの数が、削除漏れをなくせる範囲を決めます。

棚卸し・アクセスレビューの自動化

誰がどの権限を持つかを定期的に棚卸しし、レビューを回せるかは監査対応の負担を左右します。レビュー依頼の自動配信、承認・却下の記録、証跡の出力を仕組みで持てるかを確認します。

権限管理と特権ID・SoDへの対応

一般ユーザーの権限に加え、管理者権限などの特権IDを制御できるかを確認します。職務分掌(SoD)の観点で相反する権限の同時付与を検知・防止できるかは、内部統制を重視する企業ほど重要です。

監査ログとレポート機能

権限変更やアクセスの履歴を記録し、監査で提出できる形式で出力できるかを見ます。ログの保管期間や検索性、レポートテンプレートの充実度も確認します。

提供形態と既存環境との親和性

クラウド型かオンプレミス型か、既存のActive Directoryやレガシーと共存できるかで運用コストが変わります。オンプレ資産が残る環境では、AD連携やハイブリッド構成に強い製品でないと運用が二重化しかねません。

コストと運用体制

ユーザー単価だけでなく、初期構築費・コネクタ追加費・サポート費まで含めた総保有コストで比べます。多くの製品は個別見積もりのため、自社の規模と連携数を伝えて見積もりを取り、専任運用か外部委託かまで見込んでおくと安全です。

関連記事:アクセス権の棚卸しガイド|J-SOX・ISMS対応と管理台帳の作り方

主要ID管理ツール6製品の比較

ここからは、ガバナンス寄りのID管理を担える主要6製品の特徴を整理します。料金はいずれも個別見積もりが基本のため、機能と提供形態の観点で並べています。

製品 提供形態 人事連携・自動プロビジョニング 棚卸し・アクセスレビュー 主な特徴
ジョーシス クラウド 入退社ライフサイクルを自動化 Access Reviewsで監査対応 SaaS・デバイス・アカウントを横断管理
Microsoft Entra ID Governance クラウド/ハイブリッド HRソース連携・ライフサイクルワークフロー アクセスレビュー・PIM Microsoft環境と統合、オンプレ接続に対応
SailPoint Identity Security Cloud クラウド/オンプレ 幅広いコネクタで自動化 アクセス認証・SoD 大企業・規制業種向けのIGA専業
Okta Identity Governance クラウド ライフサイクル管理 アクセスレビュー・レポート Oktaの認証基盤と一体運用、600以上の連携
Extic クラウド 人事情報からID自動生成 定期チェック・自動アクション 認証用と認可用のID情報を一元管理する国産
LDAP Manager オンプレミス CSV・RDB・APIから人事連携 属性管理・状態管理 国産統合ID管理パッケージ、AD連携に強い

ジョーシス

ジョーシスは、SaaS・デバイス・アカウントを統合管理するAI駆動型アイデンティティガバナンスプラットフォームです。入退社のライフサイクルを自動化するAccess Automation、監査対応のコンプライアンスサーベイを担うAccess Reviewsなどを備え、350以上のアプリと連携します。国内外で1,000社以上に導入され、事例によってはIT工数を最大50%、ITコストを最大75%削減したケースもありますが、効果は個社の状況により異なります。料金は要問い合わせです。

Microsoft Entra ID Governance

Microsoft Entra ID Governanceは、認証基盤のEntra IDにアクセスレビューやライフサイクルワークフロー、特権ID管理(PIM)を上乗せするガバナンス機能です。HRソースからの送信プロビジョニングでActive DirectoryとEntra IDのユーザーを維持し、SCIM・LDAP・SQL経由でオンプレとクラウドのアプリにも接続できるため、既存のMicrosoft資産を活かしたい組織に向きます。利用にはEntra ID GovernanceまたはEntra スイートのライセンスが必要です。

参考記事:Microsoft Entra ID ガバナンスの概要(Microsoft Learn)

SailPoint Identity Security Cloud

SailPointは、SaaS型のIdentity Security Cloudと、オンプレ導入で広く使われてきたIdentityIQを提供します。アクセス認証(certification)、ロール管理、プロビジョニング、職務分掌(SoD)の強制など、IGAの中核機能を網羅し、規制の厳しい大企業での採用実績を積み重ねてきました。きめ細かな権限可視化やSoD要件が強い組織に向きます。

参考記事:SailPoint Identity Security Cloud

Okta Identity Governance

Okta Identity Governance(OIG)は、Workforce Identity Cloudにアクセスガバナンス、ライフサイクル管理、ワークフロー自動化を加えます。600以上のネイティブ統合を活用してアプリの権限を検出し、アクセスレビューのキャンペーンを自動化します。単一の情報源とクエリ可能なレポート機能でコンプライアンス対応を支えます。

参考記事:Okta Identity Governance 製品ページ

Extic

Exticは、エクスジェン・ネットワークスが提供する国産IDaaSです。人事情報から認証・認可のIDを自動生成し、複数システムへプロビジョニングします。設定したルールに従いユーザーを定期チェックし、対象抽出から自動アクションまでを回すことで、入社から異動、退職にまたがるライフサイクル管理を自動化します。100万を超えるIDの運用実績を持ち、料金は要問い合わせです。

LDAP Manager

LDAP Managerは、エクスジェン・ネットワークスが提供する国産の統合ID管理パッケージソフトです。CSVやRDB、Web画面、APIから人事情報を取り込み、入社・異動・休職・退職に応じてIDの状態を管理します。Microsoft Entra ID、Active Directory、LDAPなどへID・パスワードをリアルタイムに連携し、統合ID管理パッケージ市場で長年の出荷実績を持ちます。

参考記事:Extic 国産IDaaS サービス概要(エクスジェン・ネットワークス)

参考記事:LDAP Manager 製品概要(エクスジェン・ネットワークス)

目的・環境別のID管理ツール選定パターン

同じ中堅企業でも、既存環境と主目的しだいで最適解は変わります。代表的なパターンを押さえておくと、自社のフェーズに合う候補を素早く絞れます。

入退社の自動化を最優先したい

アカウントの作成・削除の工数と漏れをなくすことが主目的なら、人事連携とプロビジョニングの範囲が広い製品を選びます。ジョーシスやExtic、LDAP Managerのように人事情報を起点にライフサイクルを回せる製品が候補で、退職日に権限が自動で消える状態を作れるかが分かれ目です。

オンプレADが残るハイブリッド環境

社内システムやレガシーアプリがオンプレに残る環境では、Active Directoryとの共存・連携に強い製品が向きます。オンプレ型のLDAP Managerや、ハイブリッド接続に対応するMicrosoft Entra ID Governanceが現実的な選択肢です。

Microsoft環境を中心に固めたい

Microsoft 365やAzureが全社標準なら、Entra ID Governanceが第一候補です。認証から棚卸し、特権ID管理までを同じ基盤で完結できます。ただしサードパーティSaaSが多い場合は連携範囲の確認が要ります。

SaaS横断の可視化と棚卸しを重視したい

数十種類のSaaSが乱立し、まず全体像を可視化してから統制したいなら、SaaS横断でアカウントと利用実態を束ねられる製品が向きます。ジョーシスのようにSaaS・デバイス・アカウントを横断管理できるプラットフォームが、棚卸しとコスト最適化を同時に進めたい情シスの受け皿になります。

関連記事:特権ID管理とは?不適切な管理に潜むリスクと適切な管理方法を解説

ID管理ツール導入から棚卸し運用定着までの手順

ID管理ツールは、選んで終わりではありません。導入後の運用設計こそが成果を分けます。ここでは定着までの道筋を5つのステップで描きます。

アカウントと権限の現状棚卸し

はじめに、社内外のシステムに存在する全アカウントと権限を洗い出します。退職者や休眠、用途不明の野良アカウントを見つけ出し、台帳を実態に合わせることが第一歩です。この精度が後続の自動化の土台を決めます。

人事システムとの連携設計

次に、人事システムやHCMをIDのマスターとして連携を設計します。入社・異動・退職のイベントを、どのシステムのどの操作に紐づけるかを定義します。ここを詰めるほど手作業に戻る余地が減ります。

自動プロビジョニングの構成

連携設計をもとに、アカウントの作成・変更・削除を自動で払い出す構成を組みます。まず利用頻度の高いシステムから対象にし、挙動を検証しながら範囲を広げると想定外の停止を避けられます。

アクセスレビューの定期運用

導入後は、権限の棚卸しとアクセスレビューを定期的に回します。過剰な権限や孤立アカウントを洗い出し、レビューの記録を証跡として残せば、監査対応の負担を平準化できます。

監査ログの活用と改善

最後に、監査ログとレポートを使って運用の穴を継続的に埋めます。権限変更の履歴を定点で確認し、ポリシーを見直し続けることで、統制の質を保てます。棚卸しの結果は各部門と共有し、現場を巻き込む運用に育てます。

関連記事:退職者アカウント削除漏れが引き起こす情報漏洩リスク

ID管理とSaaS管理を組み合わせて統制を高める

ID管理ツールを入れても、SaaSの利用実態やライセンスの無駄まで自動で片づくわけではありません。認証と権限の統制はID管理側が担い、どのSaaSが使われ、ライセンスが何本消費され、シャドーITが潜んでいないかを把握して最適化する役割は、SaaS管理側が受け持ちます。この二つがそろって、統制が一気通貫になります。

ジョーシスのプラットフォームは、SaaS・デバイス・アカウントを束ねて管理するAI駆動型アイデンティティガバナンスプラットフォームです。人事情報を起点とした入退社の自動化とアクセスレビューに加え、SaaSポートフォリオの可視化とコスト最適化を同じ基盤で担います。

ID管理の基盤づくりと並行してSaaS横断の可視化まで整えたい情シスにとって、両者を組み合わせる設計が現実的な最適解になります。

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よくある質問

ID管理ツールの比較と選定でよく寄せられる質問に答えます。

ID管理ツールとIDaaSは何が違いますか

IDaaSはシングルサインオンや多要素認証など「認証」を担う基盤で、ID管理ツールは人事情報を起点にアカウントを払い出し、棚卸しや権限レビューまでを担う「ガバナンス」寄りの仕組みです。両者は補完関係にあり、認証はIDaaS、統制はID管理ツールと役割を分けて併用する構成が一般的です。

ID管理ツールの料金相場はどのくらいですか

多くの製品は料金を個別見積もりとしており、公開価格を出していない製品が中心です。ユーザー数や連携システムの数、必要な機能によって大きく変わるため、自社の規模と要件を伝えて見積もりを取り、初期費・サポート費まで含めた総保有コストで比較するのが正確です。

オンプレミスのActive Directoryが残っていても使えますか

使えます。オンプレ型のLDAP Managerや、ハイブリッド接続に対応するMicrosoft Entra ID Governanceのように、Active Directoryとの共存・連携に強い製品を選べば、クラウドへ段階的に移行しながらID管理を束ねられます。オンプレ資産の範囲を棚卸ししてから候補を絞ると失敗を避けられます。

監査対応のためにはどの機能を見るべきですか

権限の棚卸しとアクセスレビューを定期的に回せる機能、権限変更やアクセスの履歴を残す監査ログ、そして証跡を出力できるレポート機能を確認します。J-SOXやISMSでは「誰がいつ何にアクセスできたか」を説明できることが求められるため、レビューの記録が仕組みで残るかが判断の軸になります。

まとめ

ID管理ツール比較の王道は、自社のID管理がどこで限界を迎えているかを見極め、必要なタイプ(一元管理型・ライフサイクル管理型・ガバナンス型)を定め、7つの選定軸で候補を絞ってから見積もりと検証に進む流れです。入退社の自動化が主目的か、監査対応か、オンプレADが残るかで、選ぶべき製品は変わります。

まずは社内外のアカウントと権限を棚卸しし、人事連携の起点を書き出すことから始めてください。自社のフェーズに合うタイプと製品を見極めれば、ID管理の土台が築けます。

関連記事:IDaaSとは|SSO・SCIM・ゼロトラストとの関係を情シス向けに完全解説

関連記事:IGAとは|アイデンティティガバナンスの定義とIAM・IDaaSとの違い

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