
「SaaS管理ツール おすすめ」で検索すると、ランキング記事や比較サイトがずらりと並びます。ところが上位に挙がる製品を順に追っても、どれも似た機能をうたっていて、結局自社はどれを選べばいいのか決めきれない。そんな手詰まりを感じている情シス担当者は少なくありません。
やっかいなのは、ランキング上位の製品が自社の最適解とは限らない点です。製品ごとに得意な課題ははっきり分かれており、自社が何を一番解決したいのかを決めないまま選ぶと、機能は豊富なのに現場で使われないツールをつかんでしまいます。
この記事では、自社の最優先課題と従業員規模から検討すべき2〜3製品まで絞り込めるよう、課題別と規模別に編集部のおすすめと推奨理由を整理します。情シス担当者、IT部門マネージャー、情シス部門長の方に向けた内容です。

おすすめ選びは、製品を眺める前に自社が一番解決したい課題と従業員規模を1つに絞るところから始まります。この2つが曖昧なままだと、どのおすすめ記事を読んでも判断がぶれてしまうからです。
自社の課題は、大きく5つに整理できます。ライセンスの無駄をなくしたいコスト削減、入退社のアカウント作業から解放されたい工数削減、把握できていないSaaSを洗い出したいシャドーITや生成AIの対策、J-SOXやISMSの証跡を残したい監査対応、そしてSaaSだけでなくデバイスまで束ねたいIT資産統合の5つです。
規模でも最適解は動きます。従業員100名までなら無料ツールで可視化するだけでも効果が出ますが、100〜1,000名では入退社の自動化投資が最も効き、1,000名を超えると部門ごとの権限分掌やガバナンスへの対応が避けて通れません。まず課題別のおすすめで大枠をつかみ、次に自社の規模でさらに絞る。この順番が近道です。
課題と規模のどちらも曖昧なまま比較サイトのランキングを上から検討すると、機能の多さや知名度に引っ張られがちです。自社の状況に軸を置けば、同じ製品でも「うちには過剰」「うちにこそ最適」の判断がぶれなくなります。
なお、評価基準の重み付けやPOCの進め方は選び方の記事で、製品ごとのスペックの横並びは比較記事で詳しく扱っています。本記事は「自社の状況ならどれか」という推奨に集中します。
最優先の課題が変われば、効くツールのタイプも編集部のおすすめも変わります。ここからは5つの課題別に、推奨する製品とその理由を示します。
コスト削減が最優先なら、SaaS利用状況の可視化と未使用ライセンスの検知に強いツールがおすすめです。Productivの調査では、企業が導入するSaaSアプリのうち日常的に使われているのは平均で半数以下にとどまるという結果も報告されています。この無駄を見える化するだけで、削減の余地がはっきりします。
この課題が最優先かどうかは、SaaSの契約数と実利用者数の乖離を説明できないなら当てはまる、と考えると判断しやすくなります。契約ライセンスに対して誰が使っているかが見えていない状態こそ、可視化型のツールが最も効く場面です。
候補はマネーフォワード Admina、dxeco、ジョーシスです。マネーフォワード Adminaは支払データと連携してコストを家計簿のように可視化でき、50IDまで無料で試せます。支出の全体像から入りたい企業に向いています。dxecoはChrome拡張で利用実態をとらえ、契約更新日の抜け漏れも防ぎます。ジョーシスは利用状況を分析し、過去90日ログインのないアカウントといった解約候補をダッシュボードにレコメンドするため、削減の判断材料がそのまま手に入ります。まず費用をかけずに棚卸ししたいなら、完全無料のワスレナイも選択肢に入ります。削減余地の大きさが見えてから有料ツールへ移る二段構えも現実的です。
入退社のたびに各SaaSへログインしてアカウントを作り、消す作業が限界なら、プロビジョニング自動化と人事システム連携に強いツールがおすすめです。この領域は情シスの日常工数に直結します。
月に十数件以上の入退社があり、そのたびに情シスが半日を溶かしているなら、この課題が最優先です。選定では、自社が使う人事システムとの連携実績があるか、対象SaaSに主要サービスが含まれるかを最初に確かめてください。
候補はジョーシス、freee IT管理(Bundle)、LOCKED、YESODです。かつては入社者ごとに10種類以上のSaaSアカウントを手作業で発行し、退職者の削除漏れを監査で指摘されていた企業も、人事データと連携すれば付与と削除を自動で回せる状態に変わります。freee IT管理は入社時のアカウント発行の自動化を軸に据え、LOCKEDは所属や役職を判別して自動作成します。YESODは人事情報を起点に権限の付与や剥奪を定義でき、組織変更が多い企業で属人化を防げます。ジョーシスはSaaSとデバイスの両方を入退社の流れでまとめて処理できるため、アカウントと端末の対応漏れを同時になくせる点が際立ちます。
情シスが把握していないSaaSや生成AIの利用を洗い出したいなら、検知方式が肝になります。ブラウザ拡張やエージェントレスで実際の利用をとらえられるツールがおすすめです。
SSOに接続していないSaaSや、部門が独自契約したツールを把握できていないなら、この課題が優先されます。近年は従業員が個人判断で生成AIを使い始めるケースも増え、検知の網から生成AIが漏れないかも確認したいポイントです。
候補はdxeco、ジョーシス、マネーフォワード Adminaです。dxecoはChrome拡張で従業員の利用ツールを集め、2,000以上のSaaSデータベースと突き合わせてシャドーITを可視化します。ブラウザ経由の利用を捉える方式のため、SSO未接続のツールも拾える点が強みです。ジョーシスはブラウザ活動からSaaS利用を検出し、ChatGPTやCopilotといった生成AIも管理対象に含められるため、シャドーIT対策と生成AIガバナンスを一つの画面で進められます。マネーフォワード AdminaはエージェントレスでのシャドーIT検知に対応し、端末への拡張機能配布を避けたい場合に選びやすい構成です。
監査対応が導入の目的に含まれるなら、監査ログとアクセス権レビュー、証跡エクスポートがそろったツールがおすすめです。証跡を集める工数を大きく減らせます。
上場準備中、あるいは監査でアカウント管理の証跡を求められた経験があるなら、この課題の優先度は高くなります。ログの保存期間や、そのままエクスポートして提出できる形式かどうかも選定時に確認しておきたい点です。
候補はジョーシスとfreee IT管理(Bundle)です。ジョーシスはアクセス権の変更履歴、アカウントの付与・削除記録、利用ログを一元管理でき、退職者アカウントを退職当日に削除できる体制が整うことでJ-SOX監査の指摘リスクを下げられます。定期的なアクセス権の棚卸しを部門マネージャーの承認とセットで回せるため、証跡集めの手作業も減らせます。freee IT管理は操作ログを残せるため、ISMSや監査への対応にも役立ちます。
SaaSアカウントとデバイスの情報が別々のツールに分かれ、手作業でつないでいるなら、IT資産統合型がおすすめです。入社時のアカウント発行とデバイス配布、退職時の削除と回収を一連の流れで扱えます。
SaaS管理ツールとIT資産管理ツールを別々に運用し、貸与端末とアカウントの情報を突き合わせるのに手間がかかっているなら、統合型が効きます。台帳が二重管理になっている企業ほど、統合の恩恵は大きくなります。
候補はジョーシスとOPTiM サスマネです。ジョーシスはSaaS、デバイス、アカウントを1つの基盤で統合管理し、350以上のSaaSと連携します。入社時のアカウント発行と端末の割り当て、退職時の削除と回収を一連の流れで扱えるのが持ち味です。OPTiM サスマネはSaaSに加えてオンプレミスソフトや自社開発ソフトまで可視化でき、社内システム全体を見渡したい企業に向いています。
参考記事:SaaS管理ツール比較10選|2026年のFinOps・AI対策とは?(digi-mado)
同じ課題でも、従業員規模でおすすめは変わります。無料で足りる段階、自動化投資が効く段階、ガバナンスが必須の段階の3つに分けて見ていきます。
従業員100名までは、まず無料か低コストのツールで利用状況を可視化するのがおすすめです。この規模はアカウント数も限られ、可視化と未使用ライセンスの削減だけでも十分に手応えがあります。
候補はワスレナイ、マネーフォワード Admina、dxecoです。ワスレナイは導入も運用も永年無料で、SaaS連携数やアカウント発行数に制限がありません。まず費用ゼロで棚卸しを始めたい企業に向いています。マネーフォワード Adminaは50IDまでの無料枠があり、成長に合わせて有料へ移れます。この段階では専任の情シスがいないことも多いため、設定の手軽さと日本語サポートの手厚さも判断材料になります。可視化で成果を確かめてから、アカウント自動化へ範囲を広げる進め方が現実的です。
100〜1,000名の中堅企業は、入退社の件数が増えて手作業が限界に近づくため、自動化投資が最も効く帯です。可視化に加えて、アカウント管理の自動化と既存システム連携を備えたツールがおすすめです。
候補はジョーシス、マネーフォワード Admina、freee IT管理です。この規模では月に数十件の入退社が発生し、1件あたり30分の手作業を減らすだけでも月に数十時間の削減になります。部門が独自にSaaSを契約し始めるのもこの帯で、可視化とアカウント自動化を両輪で回せる製品ほど効果が出ます。人事システムやIDプロバイダーとの連携実績を確かめ、自社の主要SaaSに対応しているかを見極めることが選定の決め手になります。SaaSとデバイスの管理が別ツールに分かれているなら、統合型に寄せることで運用そのものの負荷も下げられます。
1,000名を超えると、部門ごとの権限分掌、人事情報を起点としたアクセス権の自動制御、グローバル拠点への対応が欠かせません。IGAやガバナンス機能が充実したツールがおすすめです。
候補はジョーシス、YESOD、そしてZluriやTorii、BetterCloudといったグローバル製品です。ジョーシスは国内外1,000社以上の導入実績があり、部門横断の統合管理に対応します。この規模では部門ごとの管理画面や承認権限の分散設定、部門別コストレポートといった要件が加わるため、小規模向けに設計されたシンプルなツールでは足りないことがあります。YESODは人事情報を起点に権限のライフサイクルを制御でき、組織変更の多い大企業に向いています。海外拠点を多く抱える場合はSaaSOpsに強いグローバル製品も候補になりますが、日本語サポートと国内SaaSへの対応は個別に確認してください。
参考記事:【2026年】SaaS管理ツールのおすすめ(BOXIL)
どの製品がよく選ばれているかを客観データで押さえておくと、候補選びの後押しになります。ただし、シェアの高さがそのまま自社の最適解を意味するわけではありません。
BOXILが2025年4月30日から5月4日にSaaS管理ツール導入に携わった1,813人へ実施した調査では、マネーフォワード Adminaが20.70%でシェア1位でした。続いてデクセコ(dxeco)が11.60%、ジョーシスが11.30%、freee IT管理が10.40%、ITboardが7.80%となり、上位5社で全体の61.80%を占めています。
上位に入る製品は導入企業が多く、事例やサポートの蓄積も厚い傾向があります。とはいえ、自社の最優先課題に強い製品がシェア上位にいるとは限りません。シェアは全体感をつかむ参考にとどめ、課題への適合を優先して判断することをおすすめします。
参考記事:SaaS管理ツールの市場シェア 1,813人調査(BOXIL)
有料契約にいきなり進まず、無料ツールで可視化から始める手もあります。まず自社のSaaS利用実態をつかんでから投資判断したい企業に向いた進め方です。
無料で使える代表格はワスレナイで、SHIFTが提供する完全無料のツールです。SaaS連携数、ハードウェア登録数、アカウント発行数が無制限で、未利用アカウントの検知やシャドーIT検知にも対応します。マネーフォワード Adminaも50IDまで無料で使え、多くの製品が無料トライアルを用意しています。
無料枠は機能やID数に制限があることが多く、アカウントの自動制御や人事連携は有料前提のケースが目立ちます。可視化で課題の大きさが見えたら、本格運用時の料金と必要な機能を照らし合わせて有料プランを検討してください。
参考記事:ワスレナイ(SHIFT)公式
解決したい課題が複数にまたがる、あるいはまだ絞り切れていないなら、課題を横断して使える統合型を出発点にするのがおすすめです。1つの基盤で可視化とアカウント管理、コスト最適化を回せるため、後から課題が広がっても対応しやすくなります。
具体的にはジョーシスやOPTiM サスマネが候補になります。複数のツールを組み合わせるとデータが分断しがちですが、統合型なら1画面に集約でき、ツール管理そのものの工数も減らせます。まず統合型で全体を押さえ、特定課題に特化したツールが必要になったら追加する。この順で進めると失敗が減ります。
ここから先の絞り込みは、評価基準の重み付けとPOCを扱う選び方の記事と、製品スペックを横並びで確認できる比較記事で詰めると、判断のぶれを抑えられます。
関連記事:SaaS管理とは
ジョーシスは、コスト、入退社、シャドーIT、監査、デバイス統合という複数の課題を1つの基盤で解けるAI駆動型アイデンティティガバナンスプラットフォームです。350以上のSaaSと連携し、導入企業は国内外で1,000社以上にのぼります。課題が複数ある企業ほど、統合による効果を実感しやすい設計です。
ジョーシスはブラウザ活動からSaaS利用をリアルタイムに検出し、情シスが把握していなかったシャドーITも自動で一覧化します。ChatGPTやCopilot、Geminiなどの生成AIも管理対象に含められるため、生成AI利用のガバナンスも同時に進められます。
かつては入退社のたびに各SaaSへ手作業でログインしていた企業も、人事システムと連携すれば入社時の付与と退職時の削除を自動化できます。ある製造業では、導入後に入退社時のIT対応工数が以前の3分の1以下になった事例があります。効果は個社の状況によって異なります。
利用状況データを分析し、未使用ライセンスや解約候補をダッシュボードにレコメンドします。過去90日間ログインがない、同じ機能のSaaSが重複契約されているといった具体的な指摘が、削減アクションに直結します。
アクセス権の変更履歴、アカウントの付与・削除記録、利用ログを一元管理でき、監査時に必要なデータをすぐ取り出せます。退職者アカウントを退職当日に確実に削除できる体制が、コンプライアンス対応の工数を減らします。
自社の課題にどう効くかを具体的に確かめたい方は、以下の資料やデモが役立ちます。
Josysの無料デモを予約して、自社の課題に合うかを確認する
関連記事:ジョーシス公式サイト
SaaS管理ツールのおすすめ選びでよく寄せられる質問に回答します。
利用状況の可視化や未使用アカウントの検知までなら、無料ツールでも十分に効果を出せます。ワスレナイのように基本機能を無料で提供する製品もあります。ただし人事連携やアカウントの自動制御など、工数削減に直結する機能は有料前提のことが多いため、まず無料で可視化し、削減効果が見えた段階で有料を検討する進め方がおすすめです。
日本語サポートと国内SaaSへの対応を重視するなら国産、グローバル展開と高度な自動化を重視するなら海外製が向いています。国内利用が中心ならジョーシスやマネーフォワード Adminaなどの国産が扱いやすく、海外拠点を多く持つ企業ならZluriなどのグローバル製品も候補になります。自社の拠点構成と利用SaaSの内訳で判断してください。
コストや利用状況の可視化を優先するならSaaS管理ツール、ログインの一元化とアクセス制御を優先するならIDaaSが出発点になります。近年は両者の機能が重なりつつあり、統合した製品も増えています。認証から固めたいならIDaaS統合型、コスト可視化から始めたいならSaaS管理特化型を選ぶと整理しやすくなります。
多くの製品は、API連携していないSaaSも手動登録やCSVインポートで管理対象に加えられます。ただし利用状況の自動取得や権限の自動制御はAPI連携が前提の機能が多いため、自社の主要SaaSが連携対象に含まれるかは事前に確認してください。連携数の多さだけでなく、自社が使う具体的な製品への対応を見ることが重要です。
SaaS管理ツールのおすすめは、製品ランキングをそのまま採用するのではなく、自社の課題と規模に当てはめて選ぶことが成功の鍵です。
関連記事:SaaS管理の自動化
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