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従業員ITライフサイクルとは?入社から退社まで一貫管理する方法

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従業員ITライフサイクルとは

従業員ITライフサイクルとは、従業員が入社してから退社するまでの全期間にわたり、アカウント・デバイス・アクセス権限・SaaSライセンスを一元管理する考え方です。単なる入退社対応にとどまらず、異動・昇格・役割変更など、雇用関係が続く間に生じるあらゆるIT変更を体系的に扱います。

情報システム部門(情シス)の現場では「入社日にアカウントが間に合わなかった」「退職者のSaaSアカウントが半年後に発覚した」という問題が繰り返されています。こうしたトラブルの根本には、ITライフサイクルが断片的にしか管理されていないという構造的な問題があります。管理を体系化することで、情シスの工数削減とセキュリティリスクの低減を同時に実現できます。

なぜ今、ITライフサイクル管理が重要なのか

SaaS利用が当たり前になった今、1人の従業員が使うSaaSの数は平均10〜20個に達するとも言われます。入退社・異動のたびに情シスが各管理画面を手動で操作し続ければ、設定ミスや処理漏れは必然的に増えます。

メタップスホールディングスの調査(2024年)では、過半数の企業が入退社手続きの進捗管理にエクセルや紙を使用しており、「手続きの遅延」が50.7%、「タスク漏れ」が46.7%、「社員情報の更新漏れ」が44.8%という実態が示されています。これは情シスの課題である以上に、経営リスクの問題です。

JML(Joiner・Mover・Leaver)フレームワーク

従業員ITライフサイクル管理の国際的な標準として、**JML(Joiner・Mover・Leaver)**フレームワークが知られています。人事イベントを3つのフェーズに分けてITアクションを定義する考え方です。

フェーズ対象イベントITで発生するアクション
Joiner(入社)新卒・中途入社、業務委託開始アカウント作成、デバイス設定、権限付与
Mover(異動・変更)部署異動、昇格、兼務、役割変更権限変更、ライセンス追加・削除
Leaver(退社)退職、契約終了、長期休職アカウント無効化、デバイス回収、ライセンス解除

JMLの核心は、人事イベントをトリガーにしてIT側の処理を自動的に連動させる点にあります。人事システムのデータを起点に、各SaaSや認証基盤(IdP)への変更を自動連携させることが、現代の従業員ITライフサイクル管理の理想形です。

入社時(Joiner)のIT管理フロー

入社時のIT対応は、新入社員が初日からスムーズに業務を開始できるかどうかを直接左右します。準備が遅れると、当日からツールにアクセスできないという状況が起こります。対応は入社日から逆算して計画的に進めることが必須です。

入社前に完了すべきIT準備

入社日の少なくとも1週間前を目標に、以下の項目を完了させます。

  • メールアカウント・社内ポータルのID発行:ウェルカムメールを送付できる状態にしておく
  • PCのキッティング:OSセットアップ、ソフトウェアインストール、MDMへのデバイス登録を入社前に完了させる
  • SaaSライセンスの割り当て:所属部署・役職に応じた必要ライセンスを事前に付与する
  • アクセス権限プロファイルの適用:部署・役職ごとに標準化されたプロファイルを事前に設定しておく

準備が遅れる最大の原因は「人事からの情報到達が遅い」ことです。採用確定のタイミングで情シスへ通知が入る仕組みがないと、入社直前まで準備が動き出しません。

入社当日・入社後の対応

当日は本人確認の完了後にアカウントを有効化します。MFA(多要素認証)の設定案内、セキュリティポリシーの説明、パスワード変更の案内を当日中に実施します。入社後1週間以内に、セキュリティ研修の受講確認と追加権限の申請フロー案内を行うことが望ましいです。

手動対応では1件の入社対応に数時間を費やすことも珍しくありません。部署・役職に連動したプロビジョニングを自動化することで、情シスの工数を大幅に削減できます。

在職中(Mover)のIT管理フロー

在職中のMoverフェーズは、見落とされがちながらセキュリティリスクの温床になりやすい領域です。部署異動や役割変更のたびにアクセス権限が適切に更新されなければ、権限の過剰付与や「アクセス権の蓄積(クリープ)」が生じます。放置すれば、在職中でも不適切なアクセスが可能な状態が続きます。

部署異動・役割変更時の対応

異動が発生した際は、前部署のアクセス権限を速やかに削除し、新部署の権限を付与する必要があります。手動管理では「人事から情シスへの情報共有が遅れる」「前部署の権限削除を忘れる」というミスが頻発します。

GSXのレポート(2025年4月)でも、異動後に前部署の機密情報へのアクセス権が残存するケースが多く、不適切な権限による情報漏洩リスクが指摘されています。最小権限の原則(Least Privilege)を徹底するには、異動イベントを自動的に権限変更と連動させる仕組みが不可欠です。

昇格・兼務・プロジェクト参加時の対応

昇格時は管理者権限の付与、プロジェクト参加時は期間限定のアクセス権設定が必要です。プロジェクト終了後に一時的な権限が残存するケースもよく見られます。不要な権限が蓄積されないよう、定期的なアクセス権の棚卸しを運用サイクルに組み込むことが求められます。

定期的なアクセス権限レビューの実施

在職中でも少なくとも四半期に1回は、アクセス権限の棚卸しを実施することを推奨します。誰がどのSaaSにどの権限でアクセスできるかを可視化し、業務上不要な権限を削除する運用サイクルを確立することが、セキュリティ態勢の強化につながります。監査対応の観点からも、この棚卸しの記録は重要な証跡になります。

退社時(Leaver)のIT管理フロー

退社時のIT対応は、セキュリティインシデントと情報漏洩防止の観点から最も緊張感を持って臨むべきフェーズです。退職者のアカウントが1件でも残存すると、機密情報への不正アクセスや内部不正のリスクが高まります。

退社確定から退職日までに実施すべき対応

退職日が確定した段階から逆算して、以下の流れで対応を進めます。

退職日の2週間前:

  • 人事から情シスへの退職通知の受理確認
  • デバイス回収スケジュールの調整
  • 引き継ぎ期間中のアクセス権限の範囲確認

退職日当日:

  • 全SaaSアカウントの即時無効化(業務終了時刻に同期して実行)
  • 社内ポータル・メールアカウントの無効化
  • デバイスの回収またはリモートワイプの実施
  • 会社所有データのバックアップ確認

退職日翌日以降:

  • 無効化したアカウントの削除(ポリシーに従い30〜90日後)
  • 解放されたSaaSライセンスのコスト最適化への反映

退職者アカウント放置のリスク

東京商工リサーチの調査によれば、2024年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏洩・紛失事故は前年比8%増の189件と、調査開始以来の最多件数を記録しています。退職者のアカウント削除漏れは、こうしたインシデントの典型的な原因の一つです。

SaaSが10〜20個ある現在、情シスが退職のたびに各管理画面を一つずつ確認するのは現実的ではありません。1件の削除漏れで、退職者が会社の機密情報に継続アクセスできる状態が残ります。自動化による一括無効化が、唯一の現実的な対策です。

入退社対応の工数を半減させたい情シス担当者へ

ジョーシスは、入社・異動・退社に伴うアカウント管理・デバイス管理・SaaS権限変更を自動化するプラットフォームです。350以上のSaaSと連携し、人事イベントをトリガーに一括処理を実現します。

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従業員ITライフサイクル管理で情シスが抱える課題

多くの企業の情シスが、従業員ITライフサイクル管理において共通の課題を抱えています。自社の状況と照らし合わせながら読み進めてください。

人事部門との情報連携の遅れ

入退社・異動の情報が人事から情シスに届くタイミングが遅れることは、最も頻繁に起きる課題です。退職者情報が退職日当日の午後に届いたために、当日中のアカウント無効化が間に合わなかったというケースも実際に起こっています。

人事システムと情シスの管理ツールが連携していない環境では、情報伝達が属人的なメール・Slackのやり取りに依存します。担当者の休暇や繁忙期が重なると、さらに遅延リスクが高まります。

SaaSの増加による管理対象の拡大

企業内で使われるSaaSの数は年々増えており、情シスが把握していないシャドーSaaSも多数存在します。管理対象が見えていないSaaSは、アカウント削除の対象にもなりません。退職者が使っていたSaaSを情シスが把握できていなければ、削除しようがないのです。

手作業によるミスと属人化

入退社対応をスプレッドシートとメールで管理している限り、ヒューマンエラーはなくなりません。特定の担当者が休暇・退職した場合、対応手順が引き継がれず処理が止まるリスクもあります。「誰がどこまで対応したか」が追えない状況は、多くの企業で見られます。

コンプライアンスと監査対応の負担

SOX法やISO27001の監査では、「誰がいつどのシステムにアクセスできたか」の証跡が必要になります。手動管理ではこの証跡収集に多大な工数がかかり、記録の抜けが監査指摘の原因になります。

従業員ITライフサイクル管理を自動化する方法

課題の根本解決には、人事イベントとIT管理を自動的に連動させる仕組みの構築が必要です。段階的に進めることで、現実的な改善が可能です。

ステップ1:人事マスタを唯一の信頼できるデータソース(SoT)にする

まず人事システム(HRシステム)を、従業員情報の唯一の権威データとして位置づけます。入社・異動・退職の変更が人事システムに入力された瞬間に、IT側の処理が自動的に始まる設計が理想です。

人事システムがない場合は、入退社管理ツール(SmartHR、freee人事労務等)を起点とし、IT管理ツールと連携させるアプローチが現実的です。スプレッドシートをSoTとすることも可能ですが、自動化の精度と信頼性は下がります。

ステップ2:役職・部署に紐づいたアクセス権プロファイルを設計する

役職・部署ごとに「標準アクセス権プロファイル」を定義します。「営業部・一般社員」であれば、CRM・メール・会計閲覧・社内Wiki、という形で、役割に応じた必要SaaSと権限レベルを事前に決めます。このプロファイルがあることで、入社・異動時に「何を付与すべきか」の個別判断が不要になり、自動プロビジョニングの基盤になります。

ステップ3:IdP(IDプロバイダー)と各SaaSをSCIMで連携する

Microsoft Entra IDやOktaなどのIdPと各SaaSをSCIM(System for Cross-domain Identity Management)プロトコルで連携することで、IdP側のユーザー変更が各SaaSに自動反映されます。IdPで退職者を無効化した瞬間に、連携する全SaaSのアカウントが一括で無効化されます。

ステップ4:SaaS管理ツールでIdPが対応していないSaaSをカバーする

SCIMやSAMLに非対応のSaaSは多く存在します。また、シャドーSaaSはそもそもIdP連携の対象外です。こうしたカバレッジのギャップを埋めるのが、SaaS管理ツールの役割です。ブラウザ拡張やAPIを通じてSaaS利用状況を横断的に可視化し、IdPだけでは届かない領域を補完します。

ステップ5:Access Review(アクセス権棚卸し)を定期実行する

自動化を導入しても、例外的な権限付与や設定ミスはゼロにはなりません。四半期ごとにアクセス権の棚卸しを実施し、不要な権限を削除するサイクルを確立します。監査ログの自動収集とレポート化が可能なツールであれば、コンプライアンス対応の工数も大幅に下がります。

ジョーシスによる従業員ITライフサイクル管理の実践例

ジョーシスは、SaaSアプリケーション・デバイス・アクセス権限を一元管理するプラットフォームとして、入社から退社までの従業員ITライフサイクル全体をカバーします。情シスが個別の管理画面を行き来する必要のない運用を実現します。

自動プロビジョニング・デプロビジョニング

「Access Automation」モジュールは、人事イベント(入社・異動・退職)をトリガーとして、350以上のSaaSに対するアカウント作成・変更・削除を自動実行します。手動で各SaaSの管理画面を操作する工数がなくなります。

Sales Markerは、ジョーシスの導入によってIT工数を約50%削減しました。Anker JapanはITコストを75%削減しています(各社導入事例より)。

SaaS利用状況の可視化(シャドーSaaS検出)

「SaaS Discovery」機能は、社員のブラウザ行動・ログイン情報から、情シスが承認していないシャドーSaaSを自動検出します。退職者のアカウント削除対象を正確に把握するためには、まずSaaSの全体像を可視化することが前提条件です。

アクセス権限の棚卸し(Access Review)

「Access Reviews」モジュールは、定期的なアクセス権限の確認フローを自動化します。管理者への確認依頼の送付・回答収集・承認・失効処理を一連のワークフローとして実行し、SOX法やISO27001の監査証跡を自動生成します。

デバイス管理との統合

アカウント管理だけでなく、PCやスマートフォンなどのデバイス管理も同一プラットフォームで行えます。「Device Management」モジュールで、退職者のデバイス回収・リモートワイプの管理、新入社員へのデバイス準備状況の追跡ができます。アカウントとデバイスを一括管理することで、入退社対応の抜け漏れを根本的に防ぎます。

実際のジョーシスの動きを確認したい方へ

ジョーシスがどのように従業員のIT管理を自動化するか、デモで詳しくご説明します。入退社対応・シャドーSaaS検出・アクセス権棚卸しの実際の操作画面をご覧ください。

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従業員ITライフサイクル管理の導入ステップ

自社の従業員ITライフサイクル管理を改善するための、現実的な手順を示します。ツールを先に選ぶのではなく、現状把握とプロセス設計を先行させることが重要です。

フェーズ1:現状の棚卸しと課題の特定(1〜2週間)

まず管理体制の現状を可視化します。入退社対応の手順書が存在するか、SaaS利用状況の一覧が整備されているか、人事と情シスの情報連携フローが文書化されているか、を確認します。現状把握なしにツールを導入しても、ツールの効果を最大化できません。

確認すべき項目:

  • 従業員ごとの利用SaaS一覧の有無
  • 入退社対応の標準手順書(SOP)の有無
  • 現在の対応工数の計測(月あたり何時間かかっているか)
  • 直近1年間の対応ミス・漏れの件数

フェーズ2:プロセスの標準化(2〜4週間)

ツール導入の前に、まずプロセスを標準化します。役職・部署ごとのアクセス権プロファイルを設計し、入社・異動・退社それぞれのチェックリストを作成します。このフェーズを省略してツール導入を急ぐと、プロセスの不備をそのまま自動化することになってしまいます。

フェーズ3:ツール選定と連携設計(2〜4週間)

既存の人事システム・IdP(Entra ID、Okta等)との連携要件を整理し、SaaS管理ツールの選定・PoC(概念実証)を行います。選定の際に重視すべき観点は以下の通りです。

  • 連携可能なSaaSの数と主要SaaSへの対応状況
  • IdPとの連携方式(SCIM/SAML/独自API)
  • 自動化の粒度(何をどこまで自動化できるか)
  • 監査ログ・レポートの出力機能
  • 日本語サポートとサポート体制

フェーズ4:段階的な自動化の展開(1〜3ヶ月)

まず退社時のデプロビジョニングから自動化を始めることを推奨します。セキュリティリスクが最も高く、効果をすぐに確認できるからです。次に入社時のプロビジョニング、最後に異動時の権限変更へと段階的に拡大します。

主要SaaS(Microsoft 365、Google Workspace、Slack、Salesforceなど)から始め、効果を確認しながら対象を広げるアプローチが現実的です。一度に全部を自動化しようとすると、設定ミスや例外対応で逆に工数がかかることがあります。

従業員ITライフサイクル管理に関するよくある質問

情シス担当者からよく寄せられる疑問に答えます。

Q. 小規模な会社でも従業員ITライフサイクル管理は必要ですか?

規模に関わらず、SaaSを複数利用している企業であれば必要です。従業員が少ない段階では手動管理が可能に見えても、SaaSの数が増えるにつれて管理の複雑さは急速に増大します。むしろ人手が少ない中小企業ほど、早い段階から仕組みを整えることで将来的な管理コストを抑えられます。

Q. 人事システムを持っていない場合はどうすればよいですか?

スプレッドシートを人事マスタとして起点にすることは可能ですが、自動化の精度と信頼性は下がります。SmartHRやfreee人事労務などの入退社管理ツールを人事情報の起点として導入し、IT管理ツールと連携させるのが現実的なアプローチです。

Q. IdP(Entra ID、Okta)を既に導入していれば、SaaS管理ツールは不要ですか?

IdPはSCIM/SAMLに対応したSaaSとの連携には強みを持ちますが、非対応のSaaSやシャドーSaaSはカバーできません。IdPとSaaS管理ツールは補完関係にあり、両方を組み合わせることでライフサイクル管理のカバレッジが最大化されます。

Q. 自動化導入のコストはどれくらいですか?

ツールのライセンスコストは規模や機能によって異なります。一方、自動化によって削減できる工数や、セキュリティインシデント防止の効果を考慮したROIは高い傾向があります。KCON社はジョーシスの導入により月40時間の工数削減を実現しています。

まとめ

従業員ITライフサイクルとは、入社(Joiner)・異動(Mover)・退社(Leaver)のすべての段階で、アカウント・デバイス・アクセス権限を一貫して管理する考え方です。SaaSが増加した現代では、このサイクルを人の手だけで管理することに限界があります。

管理を体系化するうえで押さえるべき点を整理します。

  • 従業員ITライフサイクル管理は入退社対応だけでなく、在職中の異動・権限変更も含む包括的な概念
  • JML(Joiner・Mover・Leaver)フレームワークが国際的な管理標準として普及している
  • 退職者のアカウント削除漏れは情報漏洩リスクに直結し、個人情報漏洩件数は毎年増加している
  • 自動化の鍵は、人事システムを起点にIdPとSaaS管理ツールを連携させること
  • 退社時のデプロビジョニングから着手して、段階的に自動化を拡大するのが現実的

従業員ITライフサイクル管理の自動化は、情シスの工数削減・セキュリティ強化・コンプライアンス対応を同時に実現します。ジョーシスは、この課題を解決するために設計されたプラットフォームです。まずは資料をダウンロードして、自社の管理体制と比較してみてください。

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