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「来期のIT予算を10%削ってほしい」と言われたとき、最初に詰まるのは削る金額ではなく順番です。SaaSから手をつけるか、老朽サーバーの保守契約を見直すか、それとも長年続く外注契約を交渉するか。判断材料がないまま着手すると、工数をかけた割に削減額が出ない施策から手をつけてしまいます。
この記事の要点は次の4点です。
情シス部門が管理するITコストは、SaaSの月額利用料だけではありません。PCやサーバーの購入・リース費、ネットワーク回線費、外部ベンダーへの開発・保守委託費、そして情シス自身の人件費まで含まれます。削減余地の比率が大きいのはSaaSですが、金額そのものが大きいのはハードウェアと外注費であることが多く、片方だけを見ていると打ち手を誤ります。まず「どこにいくら使っているか」を分類ごとに正確に把握することが、削減への第一歩ですクラウドサービス費用は、IaaS・PaaS・SaaSの月額利用料です。部門ごとの個別契約が増えているため全社での把握が最も難しく、同時に見直し効果が最も出やすいカテゴリでもあります。
企業のITコストは大きく5つのカテゴリに分けられます。それぞれの特性を理解することで、どこに無駄が潜んでいるかが見えてきます。
ハードウェア費用とは、PCやサーバー、ネットワーク機器など物理的な機器の購入・リース・保守費用です。減価償却があるため単年で全額費用化されるわけではありませんが、老朽化した機器の保守費が年々増加するケースが多く見られます。
ソフトウェア費用には、OSやオフィスソフト、業務アプリケーションのライセンス料が含まれます。パッケージ型ソフトウェアからSaaSへの移行が進んでいますが、古いパッケージライセンスの更新料がそのまま残っているケースもあります。
クラウドサービス費用は、IaaS・PaaS・SaaSの月額利用料です。部門ごとの個別契約が増えているため全社での把握が最も難しく、同時に見直し効果が最も出やすいカテゴリでもあります
クラウドサービス費用は、IaaS・PaaS・SaaSの月額利用料です。部門ごとに個別契約が増えているため、全社での把握が難しくなっている領域です。SaaS費用の25〜30%は最適化の余地があるとされており(出典:SaaS管理ツールベンダー調査)、見直し効果が最も出やすいカテゴリです。
外注費・保守費は、システム開発・運用保守・ヘルプデスク対応などを外部ベンダーに委託する費用です。長年継続しているベンダー契約は相場から乖離していることがあり、定期的な見直しが必要です。
人件費は情シス部門の人件費そのものです。直接的なコスト削減の対象にはなりませんが、SaaS管理ツールの導入などで業務を自動化すれば、少ない人員でより多くの業務をこなせるようになります。特に工数を食っているのは入退社対応です。削減余地の測り方は入退社対応で情シスの工数を削減する方法で整理しています。
実際の情シス現場でよく見られる無駄には、以下のようなパターンがあります。
退職者・異動者のアカウントが残存しているケースは非常に一般的です。人事情報と連携した削除フローが整備されていないと、退職後もライセンス費用が発生し続けます。30名規模の退職者アカウントが残存していれば、月に数十万円の損失になることもあります。
部門が個別に類似ツールを導入している状況も多く見られます。営業部門がSalesforce、マーケティング部門がHubSpot、コーポレートがkintoneと、それぞれが独立してSaaSを契約している企業では、機能が重複している部分が必ず発生します。
クラウドの使い過ぎ・最適化不足も深刻です。IaaSでは自動スケーリングの設定が不適切なまま高スペックのインスタンスが常時稼働していたり、使われていないストレージに費用が発生していたりします。
月払い契約の放置も見落とされがちです。試験導入のまま本番運用に移り、年払いへの切り替えを忘れているツールが複数あると、受けられるはずのディスカウントを逃し続けます。
役目を終えた資産に保守費が乗り続けているのは、SaaS以外で頻出するパターンです。リプレース済みのサーバーやスイッチが保守契約に残っている、閉鎖した拠点の回線が生きている、利用の止まった業務システムの年間保守が惰性で更新されている——いずれも請求書上は「毎年同じ金額」に見えるため、支払いデータだけでは気づけず、資産台帳と突き合わせて初めて発見できます。
コスト削減を始める前に、現状のIT費用を網羅的に把握する必要があります。棚卸しの手順を以下に示します。
ステップ1:支払いデータの収集 経理部門から過去12ヶ月分のITベンダーへの支払い明細を入手します。クレジットカード明細も含めて確認すると、情シスが把握していない契約が出てくることがあります。
ステップ2:カテゴリ別の整理 収集した支払いデータを、ハードウェア・ソフトウェア・クラウド・外注・人件費の5カテゴリに分類します。Excelやスプレッドシートで一覧化し、ベンダー名・サービス名・月額費用・契約更新日・担当者を記録します。分類の粒度や、経営会議に出せる形まで集計する方法はIT予算を見える化する手順とツールで解説しています。
ステップ3:利用状況の確認 各SaaSについて、実際に利用しているユーザー数と購入ライセンス数を比較します。30日以内のログイン実績がないユーザーは「低利用」として要確認リストに追加します。ハードウェアと回線は、資産台帳・構成管理情報と請求明細を突き合わせ、稼働していない資産に費用が乗っていないかを確認します。
ステップ4:削減候補の抽出 利用が低いツール、機能が重複するツール、月払いで年払いへ切り替え可能なツールをリストアップします。このリストが削減施策の優先候補となります。
情シス部門が実践できるITコスト削減の方法を、即効性と削減規模の高い順に7つ解説します。①②⑤⑦はソフトウェア・SaaS領域、③④⑥はインフラ・運用体制の領域です。前者は情シスの裁量で動かせて即効性が高く、後者は削減額が大きい代わりに社内調整とリードタイムを要します。
期待削減額:月10〜30万円(100名規模)
SaaSの未使用・低利用ライセンスの削除は、もっとも即効性の高いコスト削減施策です。企業のSaaS費用の25〜30%は最適化の余地があるとされており(出典:SaaS管理ツールベンダー調査)、100名規模の企業であれば月額10〜30万円(年間120〜360万円)の削減が期待できます。
棚卸しのポイント
全社のSaaSを一元管理するリストを作成し、以下の項目を確認します。
特に退職者アカウントは、人事部門への確認なしに放置されているケースが多く、定期的なチェックを仕組み化することが重要です。
削減の実践方法
30日以上未使用のアカウントを抽出して上長に確認し、返信がなければ一定期間後に停止、次の更新タイミングでライセンス数を減らします。自動化ツールを使えば、このフローはほぼ無人で回せます。判定基準の決め方、上長への確認文面、ベンダーとの解約・減席交渉の進め方は未使用SaaSライセンスの削減とコスト最適化ガイドにまとめています。
期待削減額:月5〜20万円(100名規模)
チャットツールはSlackとTeams、ビデオ会議はZoomとGoogle Meet、ファイル共有はDropboxとGoogle Driveと、用途が重複するSaaSを複数社員が使い分けている企業は珍しくありません。複数のツールが存在すると、ライセンス費用が二重にかかるだけでなく、コミュニケーション分断による業務効率の低下も引き起こします。
統合パターンの例
チャット・ビデオ会議・ファイル共有の3領域が典型です。
ヤマハ発動機ではCDPとメール配信ツールを統合することで、配信コスト20%削減・作業工数30%減を実現しています。ツール統合はコスト削減と生産性向上の両面に効果があります。
どの機能がどこまで重なっているかを機械的に洗い出す手順は重複SaaSの見つけ方4ステップで解説しています。重複の範囲を数字で示せる状態にしておくと、部門との合意形成が早くなります。
物理サーバーやデータセンターの維持費は、規模に関わらず固定費として重くのしかかります。クラウドへの移行は初期投資が必要ですが、中長期では大きなコスト削減につながります。
削減できる主なコスト
オンプレミス環境で発生するコストには、サーバー本体の購入・リース費、データセンター(コロケーション)の費用、空調・電力など設備費用、ハードウェア保守・更新費用があります。クラウドへ移行することで、これらの固定費を使った分だけ払う変動費に転換できます。
移行時の注意点
クラウド移行は「移行すれば安くなる」とは限りません。適切なインスタンスサイズの選定や、使っていないリソースの削除、リザーブドインスタンスの活用が不可欠です。移行後もFinOps(クラウドコスト最適化)の継続的な取り組みが重要です。FinOpsの考え方と情シスへの落とし込み方はFinOpsによるSaaS・ITコスト最適化フレームワークで整理しています。
また、移行によってサーバーの老朽化対応や障害対応の工数が削減でき、情シス部門の人的コストも間接的に下がります。
部門ごとにバラバラなツールが導入されていると、情シスのサポート工数が増大します。チャット・会議・ファイル共有・タスク管理を1本に統一することで、ライセンス費用だけでなく、ヘルプデスク対応コストや教育コストも削減できます。
標準化の進め方
ツール標準化はトップダウンで進めます。経営層の承認を得たうえで「情シスが認定するツールリスト」を策定し、新規導入は情シスへの申請を必須とします。既存ツールの廃止は、新規利用の停止→移行期間の設定→移行完了後の解約という順で段階的に進めるのが現実的です。
標準化の効果はコスト削減だけではありません。セキュリティ管理の一元化、SSO(シングルサインオン)の適用範囲拡大、ユーザー教育の効率化など、情シス全体の運用品質が向上します。
SaaS管理ツールは、SaaSの利用状況可視化・未使用ライセンスの検出・アカウントの自動付与/削除などを一元管理するソリューションです。手動で行っていた管理業務を自動化することで、管理工数の削減とコスト最適化を同時に実現できます。
自動化で解決できる課題
入社時のアカウント発行、退職時の削除、異動時の権限変更、未使用ライセンスの定期確認——手動なら1件30分〜1時間かかるこれらの作業が、自動化でほぼゼロになります。エビリーではSaaS管理ツール導入によりアカウント削除業務が80%削減され、人員を増やさずに管理対象SaaSを増やせる状態になりました。
コスト削減との相乗効果
利用状況がリアルタイムで可視化されると、30日以上未使用のライセンスの自動検出や更新日の事前通知が効くようになり、解約タイミングを逃さなくなります。
ジョーシスのプラットフォームは、IT工数最大50%削減・ITコスト最大75%削減を実現した事例を持ちます。機能構成と他ツールとの違いは後述の「ツール比較8選」で整理しています。可視化から解約までを一連の業務として設計する手順はSaaSコスト最適化の5ステップと削減ベンチマークを参照してください。
参考:SaaS管理を最適化して効率とコスト削減を高める方法(Josys)
Josysでは、SaaS管理の自動化によりITコスト最大75%削減を実現した企業事例があります。まずは資料でどんな効果が期待できるかを確認してみてください。
ITシステムの開発・保守を外注している場合、ベンダーとの契約内容を定期的に見直すことで削減が期待できます。特に5年以上継続しているベンダー契約は、市場相場から乖離している可能性があります。
見直しのアプローチ
複数社への相見積もりが最も効果的な方法です。現在のベンダーとの契約更新前に、同等のサービスについて2〜3社から見積もりを取ることで、現在の価格が適正かどうかを判断できます。相見積もりを行うだけで、既存ベンダーが自ら価格を下げてくる場合もあります。
保守契約の内容精査も重要です。「24時間365日対応」の保守契約が本当に必要かを確認します。重要性の低いシステムであれば、「平日9〜18時対応」に変更するだけで保守費を20〜40%削減できることがあります。
契約範囲の見直しでは、当初の要件が変化して使われなくなった機能や、サービスレベルが過剰なSLAを見直すことで、費用対効果を改善できます。
適正化の判断は「単価×工数」に分解して行います。 請求額が同じでも、単価が高いのか、工数が多いのか、不要な作業が含まれているのかで打ち手は変わります。作業報告書を単価と工数に分解し、惰性で続く定期作業(誰も見ていない月次レポート、廃止済みシステムの死活監視)、自動化で消せる工数、実態に合わない委託形態の3点を確認してください。
交渉のタイミングも設計します。 外注・保守契約は自動更新条項が多く、更新通知が届いた時点では交渉余地が残っていません。契約更新日から逆算して「3ヶ月前に相見積もり開始」「1ヶ月前に交渉完了」をカレンダー化し、棚卸しの一覧表に更新日を記録しておきます。関係を維持しながら適正価格に近づける進め方はSaaSベンダー管理の手順とリスク低減でも触れています。
なお、外注費の削減は内製工数と表裏一体です。削った分の作業が情シスに戻ってくるなら総コストは下がりません。削減額の計算では、戻る工数を人件費に換算して差し引いてください。
月払い契約を年払いに切り替えることで、10〜20%の年額ディスカウントを受けられるSaaSが多くあります。すぐに実行できる施策の中では実施難易度が最も低く、現在の利用状況を変えずにコストだけを下げられます。
切り替え対象の見極め方
年次契約への切り替えに適しているのは、「今後1年以上継続して使う確実性が高いツール」です。以下の条件を満たすツールを優先候補にします。
逆に、現在評価中のツール、近い将来統合・廃止が検討されているツールは月払いを維持します。年払いで前払いした後に解約すると、残期間の費用が戻らないケースが多いためです。
対象を絞れば効果は大きい
月額5万円のSaaSを年払いにして10%割引が適用されれば年間6万円、5ツールで実施すれば年間30万円の削減です。手間の割に積み上がる金額は無視できません。
施策別「即効性×削減規模×難易度」マトリクス
この順位は削減額の大きさではなく「削減額÷(工数+社内調整)」で並べています。③クラウド移行は削減規模が最大ですが、稟議・移行計画・業務停止の調整が必要なため最後に置いています。
限られた工数の中で最大の効果を出すには、施策の順序が重要です。すべてを同時に進めようとすると中途半端になり、成果が出にくくなります。
順序を決める判断軸は3つです。1つ目は着手までのリードタイム——稟議や他部門の合意が必要な施策は、承認待ちの間に何も進みません。2つ目は削減の確実性——未使用ライセンスの削除は削減額がほぼ確定しますが、クラウド移行は試算が外れることがあります。3つ目は原状回復のしやすさ——戻せる施策から試すほうが、社内の信頼を失いません。この3軸で並べると、次のフェーズ構成になります。
着手に審査や承認が不要で、今すぐ始められる施策です。経理から支払いデータを入手し、各SaaSの利用状況を確認するだけで削減候補を発見できます。
今すぐやること
フェーズ1は「棚卸しがない状態から、現状を把握している状態へ」の移行です。ここで作成したSaaSリストは、以降のすべてのフェーズの基礎データになります。
棚卸しで把握した現状をもとに、重複ツールの統合計画を立て、月払いツールの年払い切り替えを進めます。
フェーズ2でやること
フェーズ2は把握した現状を削減アクションに変える段階です。ここまでで削減効果が数値になり、経営層への報告材料が揃います。
フェーズ1〜2で手動棚卸しの限界を感じたら、SaaS管理ツールの導入を検討します。ツール導入によって棚卸し・削除・通知を自動化し、情シスの工数を大幅に削減します。
フェーズ3でやること
ツール導入後は、情シスが手動で行っていたSaaS管理業務の大半が自動化され、より戦略的な業務に集中できるようになります。
投資対効果の計算と社内調整が必要な中長期施策を進めます。クラウド移行はインフラロードマップと合わせて計画し、外注費の見直しは契約更新タイミングに合わせて交渉を進めます。
フェーズ4でやること
フェーズ4は削減額が最も大きい反面、成果が出るまで半年から1年かかります。フェーズ1〜3で確実な実績を作っておくと、フェーズ4の稟議が通りやすくなります。
フェーズ別ロードマップ(テキスト表)
コスト削減を進める上で重要なのは、「削るべきコスト」と「削ってはいけないコスト」を見極めることです。見当違いな削減は、かえってリスクとコストを増大させます。
セキュリティ投資は削ってはいけない
セキュリティ関連のコスト——エンドポイントセキュリティ、EDR、認証基盤(IdP/SSO/MFA)、脆弱性診断など——は、短期的には「無駄に見えるコスト」に映ることがあります。しかしインシデント発生時の対応コストや信頼失墜は、削減で節約した額とは比べものにならない損失になります。特にゼロトラストやMFAはコスト削減ではなくセキュリティ強化のための必要投資であり、経営層にも「削れない理由」を明示する必要があります。
基幹インフラは冗長性を維持する
コア業務を支えるサーバー・ネットワーク・バックアップは、過度な削減で可用性や冗長性を損なってはいけません。障害時の復旧コストと機会損失は通常の運用費を大幅に上回ります。インフラは削減ありきではなく、適切なリソース選定による最適化で対応します。
攻めのIT投資は削減対象ではない
デジタル化・自動化・データ活用といった攻めのIT投資は、優先的に確保すべきコストです。ITコスト削減の目的は無駄な支出をなくして価値ある投資の予算を確保することであり、一律の予算カットは競合に対する優位性と成長機会を損ないます。
判断に迷ったときの基準は「止まったときに誰が困るか」です。 止まっても情シスしか困らない支出(使われていないレポート、惰性の保守契約、余剰ライセンス)は削減候補です。止まると事業や顧客が困る支出、止まったことに気づくのがインシデント発生時になる支出(バックアップ、ログ保全、認証基盤)は、最適化の対象であっても削減の対象ではありません。
情シスがITコスト削減施策を推進するには、経営層の理解と承認が必要です。「コストを下げたい」という感覚的な説明では動いてもらえません。数字と根拠で示すことが不可欠です。
現状コストの可視化と定量化
経営層が最初に知りたいのは「今いくら使っているか」と「どれだけ削れるか」です。IT費用の総額を経費科目別・ベンダー別に整理し、削減候補のリストと期待削減額をセットで提示します。
方法①で触れた「SaaS費用の25〜30%に最適化余地がある」というベンチマークを自社に当てはめ、「年間SaaS費用が1,200万円であれば、300〜360万円の削減余地がある」という具体的な試算を出すことで、説得力が増します。投資対効果を数式に落とし込む方法はSaaS ROIの計算フレームワークと実践ステップ、稟議資料の組み立て方はSaaS管理ツールのROI計算と経営層への説明にまとめています。
フェーズ別の施策ロードマップを提示する
「まず何からどれだけの工数で実施し、いつまでにどの程度の削減が期待できるか」をフェーズ別に示すことで、経営層は承認判断をしやすくなります。先述のフェーズ1〜4のロードマップをベースに、自社の状況に合わせた計画に落とし込んでください。
セキュリティリスク低減との組み合わせ提案
SaaS棚卸しや未使用アカウント削除は、コスト削減とセキュリティリスク低減を同時に果たします。退職者アカウントの削除は不正アクセスリスクを下げ、シャドーITの検出は情報漏えいリスクを下げます。「コスト削減とセキュリティ強化を同時に実現できる」という組み立ては、情シス単体の承認を超えてリスク管理の文脈でも経営層に響きます。
実績事例を根拠として活用する
「他社でも実績がある手法」であることを示せば、不確実性への懸念は和らぎます。具体的な数値は後述の「成功事例」セクションから、自社に近い規模・業種のものを選んで提示してください。
SaaS管理・コスト最適化を支援するツールを8つ紹介します。これらがカバーするのは主にソフトウェア・SaaS領域であり、ハードウェア・回線・外注費の削減は方法③④⑥のように契約と体制の見直しで進める必要があります。自動化できる範囲を見極めたうえで選定してください。評価項目の立て方はSaaS管理ツールの選び方7つの評価ポイントに整理しています。
JosysはAI駆動型アイデンティティガバナンスプラットフォームです。SaaS Discovery(全社のSaaSを自動検出)、SaaS Insights(利用状況・コストの可視化)、Access Automation(入退社・異動時の権限自動変更)、Access Reviews(定期的な権限棚卸し)、Device Management(デバイス一元管理)の5機能を提供しています。
国内外1,000社以上が導入しており、350以上のアプリ(31カテゴリ)と連携します。IT工数最大50%削減、ITコスト最大75%削減を実現した事例があります。特に入退社管理の自動化と未使用ライセンスの継続的な最適化を両立したい中〜大規模企業に適しています。
Admina by Money ForwardはSaaS管理に特化したツールです。利用状況の可視化と、未使用ライセンス・重複ツールの検出が中心機能です。Money Forward製品を既に使っている企業は導入しやすく、中堅〜大企業のSaaSコスト削減に向いています。
dxecoはSaaS管理の効率化と費用最適化を支援するツールです。直感的なUIと導入しやすい価格が特徴で、IT専任者が少ない企業でも運用しやすい設計です。契約情報と利用実態の突き合わせから小さく始められます。
freee IT管理は、アカウント管理・デバイス管理・SaaS管理を一つのプラットフォームで提供します。freeeの既存ユーザーとの親和性が高く、スタートアップ〜中小企業がIT管理を一元化する入り口として使えます。
OPTiMのDevice & Account ManagementはMDM(モバイルデバイス管理)とアカウント管理を統合したプラットフォームです。デバイス管理を起点にSaaSアカウントの一元管理へ広げたい企業、セキュリティ要件が厳しい業種に向いています。
IT MITENAはベンダー・契約情報の管理に特化したツールです。契約の一覧化・更新日管理・費用集計が中心機能で、まず契約を見える化したい段階の企業に適しています。小規模情シスでも運用しやすいシンプルな設計です。
HENNGE OneはSSOとセキュリティを中心としたITガバナンスプラットフォームです。アクセス制御・MFA・メールセキュリティを一元提供し、セキュリティを強化しながら管理を効率化したい場合に向きます。認証基盤の統一は間接的な管理コスト削減にも効きます。
subkamはサブスクリプション管理に特化した軽量ツールです。登録サービスの更新日・費用を一覧で確認でき、更新前にアラートを受け取れます。まず契約状況を把握したい一人情シスや小規模チーム向けの手軽な選択肢です。
実際にITコスト削減を実現した企業の事例を紹介します。取り組みの内容と得られた成果を参考にしてください。
Anker JapanはJosysの導入によりITコストを最大75%削減しました。事業拡大でSaaSの種類と利用者が増え、情シスの管理工数が限界に達していた状況から、入退社時のアカウント管理の自動化とSaaS利用状況の可視化を実現。未使用ライセンスの検出・削除が仕組み化されたことで、大幅なコスト削減につながりました。
関連記事:SaaSの無駄をなくす具体的な方法
エビリーはdxecoを導入し、アカウント削除業務を80%削減しました。手動でのアカウント管理が限界を超えていた状況から、人員を増やさずに管理対象を増やせる状態へ移行し、退職者アカウントの削除漏れリスクも解消しています。
100名規模の企業がITコスト削減に取り組んだ場合の、年間削減額のシミュレーションを示します。
フェーズ1(1ヶ月以内)
SaaS棚卸しを実施し、退職者アカウント(10名分)と30日以上未使用アカウント(15名分)を削除。平均月額3,000円/ライセンスとして、25ライセンス×3,000円=月7.5万円削減(年間90万円)。
フェーズ2(1〜3ヶ月)
重複しているチャットツール(Slack + Teams)を統合。Slackを標準とし、TeamsのPremiumプランを廃止。月額5万円削減(年間60万円)。さらに月払い3サービスを年払いへ切り替えることで、合計月額15万円のうち15%=月約2.3万円削減(年間27万円)。
フェーズ1〜2合計:年間177万円削減
これは同規模企業の平均的な取り組みの一例です。SaaS費用の多い企業では、さらに大きな削減が見込めます。
他にもJosys導入企業では、MerryBizが年間約600万円削減、Sales MarkerがIT工数約50%削減、MyBestがSaaS管理コスト70%削減、KCONが月40時間削減を実現しています。
同業・同規模の事例からアプローチを逆算したい場合はSaaSコスト削減の成功事例5選と削減手順もあわせて確認してください。
参考:Anker Group が Josys でコストを75%削減した事例(ジョーシス)
参考:Sales Marker の IT資産可視化・運用効率化事例(ジョーシス)
情シスが取り組むべきITコスト削減は、「業務品質を落とさずに無駄をなくす」ことが正しいアプローチです。単なる予算カットではなく、使われていないコストを特定して削除し、空いた予算を本当に必要な投資に振り向けることが目的です。
最初にやるのは現状把握です。ハードウェア・ソフトウェア・クラウド・外注費・人件費の5分類で支払いデータを整理し、退職者アカウントや未使用ライセンスを確認するだけで、多くの企業は月10万円以上の削減候補を発見できます。そこからは、承認が不要で原状回復もしやすい施策を先に置くのが原則です。フェーズ1で確実な実績を作り、フェーズ2で削減額を数字にし、フェーズ3で工数そのものを下げ、社内調整の重いフェーズ4を最後に据えます。削減額の大小ではなく「削減額÷(工数+社内調整)」で並べ替えることが、順序設計の核心です。
コスト削減の施策を進めながら、セキュリティ投資とインフラの基盤は維持・強化することを忘れないでください。「削れるコスト」と「削ってはいけないコスト」を正しく見極めることが、情シスとしての真の価値発揮につながります。
SaaS管理の自動化とコスト削減を同時に実現したい場合は、Josysの導入が有効な選択肢の一つです。国内外1,000社以上の導入実績と、ITコスト最大75%削減・IT工数最大50%削減の実績をぜひ資料でご確認ください。
ITコスト削減の第一歩として、Josysがどのような効果をもたらすかを無料デモで体験できます。まずはお気軽にお申し込みください。
参考:SaaS管理を最適化して効率とコスト削減を高める方法(Josys)
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