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MDM比較|Intune・Jamfなど10製品を価格と要件で選ぶ【2026】

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スマートフォンとタブレットを業務利用する企業が増え、リモートワーク環境でPCを統合管理するニーズが高まる中、MDM(Mobile Device Management)の検討は情シス部門の重要な課題となっています。製品の数は数十種類に及び、機能範囲・対応OS・価格モデルが大きく異なるため、自社に合った製品を選び抜くのは容易ではありません。

しかし、現場では「どのMDMが自社に合うかわからない」「Microsoft IntuneとJamfで悩んでいる」「国産と海外製でどちらがいいのか」といった迷いが絶えません。さらに最近では、MDMからUEMへの移行、SaaS管理プラットフォームとの統合運用といった選択肢も増え、判断材料が複雑化しています。

MDM比較の結論を先に述べると、候補は対応OS・価格モデル・ID連携の3点でほぼ絞り込めます。この3点で3〜5製品まで落としてから残りの評価軸をPoCで確かめる順序が、選定期間を最も短くします。

この記事の要点は次の4つです。

  • 比較の前に、対象デバイス・利用形態・管理台数・既存IT環境の4項目を確定させる
  • 評価軸は7つあるが、優先順位は対応OS、価格モデル、ID連携の順で決まる
  • 主要10製品は「Windows中心」「Apple特化」「エンタープライズUEM」「国産」「低価格クラウド」の5系統に整理できる
  • 選定後の失敗は運用設計の不足に起因することが多いため、PoCと自動化設計を同じ計画に載せる

MDMそのものの仕組みや、EMM・UEMとの違いから確認したい場合は、MDMとは?仕組み・EMM/UEMとの違いを先に読んでください。本記事は製品の比較と選定に絞って解説します。

MDM比較で押さえるべき7つの評価軸、主要10製品の特徴比較、規模・業種別の選定パターン、運用フェーズで重視すべきポイントを解説します。情シスの選定担当者、IT統制プロジェクトのリーダー、セキュリティ運用責任者を主な対象とした内容です。

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MDM比較の前に整理すべき自社の前提条件

MDM選定の精度を上げるには、製品比較の前に自社の前提条件を整理することが重要です。同じMDMでも、組織規模、対象デバイス、業務形態、既存環境によって最適解は変わるため、要件定義を曖昧にしたまま比較表を眺めても、判断軸が定まりません。

確認すべき主な前提条件は次のとおりです。

  • 対象デバイスの構成:iOSのみか、Androidも含むか、PCまでカバーするか
  • 利用形態:会社支給端末のみか、BYODも含むか、両者を併用するか
  • 規模感:管理対象台数(100台未満/100〜500台/500〜2,000台/2,000台以上)
  • 既存IT環境:Microsoft 365導入済みか、IDaaSを利用しているか、既存MDMの有無
  • セキュリティ要件:業界規制(金融・医療・公共)への準拠が必要か
  • 運用体制:情シス専任の人数、社内サポートか外部委託か

これらを整理することで、候補製品が3〜5社に絞られ、PoCの効率も高まります。要件定義のないまま導入を急ぐと、機能不足や運用負荷の想定外で再選定に至るケースがあるため、初期工程に1カ月程度を確保するのが理想的です。

整理した内容は、次のような要件定義シートの形で1枚にまとめておくと、ベンダーへの問い合わせとPoCの評価にそのまま流用できます。記入例は自社の数値に置き換えて使ってください。

確認項目 記入例 比較への影響
対象OSと台数 iOS 120台/Android 40台/Windows 220台 対応OSの網羅性だけで候補が半分程度に絞られる
利用形態 会社支給が原則、BYODは営業部のみ検討 BYODを含めるならコンテナ化の有無が必須要件になる
管理台数と増減見込み 現在380台、3年後600台想定 デバイス単価とユーザー単価で総額の有利不利が逆転する
既存IT環境 Microsoft 365、Entra ID、人事システム連携あり 既存ライセンスに含まれる製品が最有力候補になる
セキュリティ要件 監査ログの保管期間、持ち出し制御の可否 DLPとログ保管の仕様で候補が絞られる
運用体制 情シス2名(兼任)、ヘルプデスクは外部委託 自動化機能の充実度が実質的な必須要件になる

管理対象台数を正確に把握できていない場合は、比較よりも台帳の整備を先に進めたほうが早く進みます。項目設計と運用ルールの考え方はIT資産台帳の作り方で整理しています。

参考:テレワーク・セキュリティガイドライン|総務省

参考:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン|IPA

MDM比較で押さえるべき7つの評価軸

MDM製品の比較を効率的に進めるためには、評価軸を事前に設定することが欠かせません。次の7つの軸を、自社の優先順位に応じて重み付けして比較してください。

7つの軸に同じ重みを置くと比較が終わりません。実務では対応OS、価格モデル、ID連携の3軸で候補を3〜5製品に絞り、残る4軸はPoCで確認する順序が最短です。各軸には、ベンダーへの問い合わせでそのまま使える確認質問を添えました。

なお、MDMという言葉はスマートフォン中心の印象を与えますが、実務ではPCを含めたクライアント端末管理の比較として検討されるケースが増えています。PCを対象に含める場合は、OSアップデートの配布制御、ディスク暗号化の状態管理、型番や保証期限といった資産情報の保持など、PC固有の要件が加わります。モバイル専用の製品ではこれらを満たせないことがあるため、比較の初期段階でPCを対象に含めるかどうかを明確にしてください。

1. 対応OSとデバイス種別

iOS、iPadOS、Android、Windows、macOS、ChromeOSなどの対応状況、IoT機器や周辺機器までカバーするかを確認します。組織が利用する主要デバイスの99%以上をカバーできることが最低条件で、将来導入予定のデバイス種別も視野に入れます。

確認質問:現時点で管理対象に入っていないOSを後から追加する場合、追加ライセンスや上位プランへの変更は必要ですか。共用端末やキオスク用途の端末は、通常の1台としてカウントされますか。

2. セキュリティ機能の網羅性

リモートワイプ、リモートロック、ディスク暗号化、強制パスワード、紛失追跡、条件付きアクセス、アプリ単位の制御、ジェイルブレイク検知などの機能を評価します。業界規制が厳しい業種では、データ損失防止(DLP)機能、コンテナ化、ネットワーク制御の深さも重要です。

MDMのセキュリティ機能は、EDRやXDRといったエンドポイント対策と役割が一部重なります。どこまでMDMで賄い、どこからを専用製品に任せるかはエンドポイントセキュリティとはで整理しているため、重複投資を避けたい場合は先に確認してください。

確認質問:監査ログの保管期間はどれくらいですか。CSVやAPIでの取り出しに対応していますか。

3. アプリケーション管理の充実度

業務アプリの一括配信、バージョン管理、社内アプリストア、アプリ単位のVPN、Wi-Fi自動設定などを確認します。アプリ管理が弱い製品は、デバイス台数が増えると運用工数が膨らみます。

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確認質問:社内で開発した業務アプリ(インハウスアプリ)の配信と更新に対応していますか。配信の失敗時に再試行や通知の仕組みはありますか。

4. ID連携とライフサイクル管理

Microsoft Entra ID、Okta、Google Workspaceなどの主要IDaaSとの連携、人事システムとの自動同期(SCIM)、入退社・異動の自動化を見ます。アカウント管理が手動のままだと、入社時の遅延や退職時の権限残存が常態化します。

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確認質問:人事システムからの同期は標準機能ですか、それとも個別開発が必要ですか。退職処理でデバイスの初期化とアカウント停止を連動させる設定は可能ですか。

5. 自動化と省力化機能

ゼロタッチデプロイメント(ADE/Apple Business ManagerやAndroid Enterprise)、ポリシーの一括適用、コンプライアンス違反の自動是正、自動レポーティングといった機能の充実度を評価します。情シス専任が少ない組織では、自動化機能が運用効率を大きく左右します。

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確認質問:ポリシー違反を検知したあと、警告・機能制限・隔離のどこまでを自動で実行できますか。是正の履歴はレポートとして残りますか。

6. 拡張性と他システム連携

EDR/EPP、SIEM、ITSM、SaaS管理プラットフォームとのAPI連携実績、Webhook対応、カスタム連携の柔軟性を確認します。3〜5年先の拡張ニーズを想定し、エコシステムの広さで判断することが望ましいです。

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確認質問:公開APIのレート制限と、取得できるデバイス情報の項目一覧を提示してください。将来の乗り換えに備え、データのエクスポート形式も確認しておきます。

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7. 価格モデルと総保有コスト

デバイス単価、ユーザー単価、固定価格のどれが採用されているかにより、組織規模との適合性が変わります。導入支援費、トレーニング費、年間サポート費を含む3年間TCOで比較するのが原則で、安価でも初期構築工数が膨大であれば結果的に高コストになります。

価格モデルは大きく3つの型に分かれ、同じ台数でも総額が変わります。

課金の型 向く組織 注意点
デバイス単価 1人1台が原則の組織 1人が複数台を持つと台数分だけ費用が増える
ユーザー単価 PCとスマートフォンを1人で併用する組織 共用端末やキオスク端末が多いと割高になりやすい
既存ライセンス同梱 Microsoft 365などを全社導入済みの組織 同梱プランの機能範囲と上位プランの差分を必ず確認する

確認質問:見積に含まれない費用(初期構築、データ移行支援、トレーニング、上位サポート)を分けて提示してください。比較は3年間の総額で行います。

参考:情報セキュリティ10大脅威|IPA

参考:Microsoft Intune とは|Microsoft Learn

主要MDM10製品の比較

MDM/UEM分野で評価が高いプラットフォームは、対象環境ごとに分かれます。Windows中心の組織ではMicrosoft Intune、Appleデバイス中心ではJamf Pro、マルチOSかつ大規模ではOmnissa Workspace ONEとIBM MaaS360、国内の規制対応や日本語サポートを重視する場合はOPTiM BizやKDDI Smart Mobile Safety Managerが定番の選択肢です。ここからは10製品を5つの系統に整理して比較します。詳細な機能一覧と最新価格はベンダーサイトで確認してください。

製品 系統 主な強み 向く組織・留意点
Microsoft Intune Windows中心の統合UEM Entra IDとの統合、条件付きアクセス、Defender for Endpoint連携 Microsoft 365 E3/E5を契約済みならコスト面で有利
Jamf Pro Apple特化 Apple Business Manager/ADE連携の緊密さと機能の深さ Mac・iPhone・iPad中心の組織、教育機関、クリエイティブ業界
Omnissa Workspace ONE エンタープライズUEM デバイス・アプリ・コンテンツ・アクセスの統合管理、ゼロトラスト連携 グローバル展開を伴う大企業
IBM MaaS360 エンタープライズUEM コンテナ化、リスクベース分析、コンプライアンス監視 金融・医療・公共など規制の厳しい業種
Citrix Endpoint Management 仮想デスクトップ統合 仮想デスクトップとモバイル管理の一体化 既存のCitrix導入企業
Cisco Meraki Systems Manager ネットワーク一体型 Meraki Wi-Fi・スイッチとの統合管理、シンプルなUI 新規採用は不可(2026年6月3日で販売終了)
OPTiM Biz 国産 日本語サポートの厚さ、細やかな機能拡張 官公庁・金融・医療、国産製品を求める組織
KDDI Smart Mobile Safety Manager 国産・キャリア系 通信キャリアならではの安定性とサポート体制 法人スマートフォン中心の中堅企業
LANSCOPE エンドポイントマネージャー 国産・ログ管理統合 PC操作ログ・Web閲覧ログ・ファイル操作ログの詳細取得 内部不正対策とデバイス管理を一体化したい組織
Hexnode UEM 低価格クラウド 価格競争力、iOS/Android/Windows/macOSの幅広いサポート 中小〜中堅企業、SaaS管理との統合運用

上の表は候補を系統単位で絞るための目安です。同じ系統に属する製品同士では、機能の差よりも既存環境との相性と3年間の総額で優劣が決まります。

Microsoft Intune

MDM/UEM分野で評価が高いプラットフォームは、対象環境ごとに分かれます。Windows中心の組織ではMicrosoft Intune、Appleデバイス中心ではJamf Pro、マルチOSかつ大規模ではOmnissa Workspace ONEとIBM MaaS360、国内の規制対応や日本語サポートを重視する場合はOPTiM BizやKDDI Smart Mobile Safety Managerが定番の選択肢です。ここからは10製品を5つの系統に整理して比較します。詳細な機能一覧と最新価格はベンダーサイトで確認してください。

Jamf Pro

Appleデバイス管理に特化した代表的製品で、Mac・iPhone・iPad環境では機能の深さで他を圧倒します。Apple Business ManagerやADEとの連携が緊密で、教育機関やクリエイティブ業界、Apple中心のスタートアップで広く採用されています。

Omnissa Workspace ONE

UEMの代表格で、デバイス、アプリ、コンテンツ、アクセスを統合管理するエンタープライズ向け製品です。Workspace ONE IntelligenceによるAI分析機能、ゼロトラスト連携、グローバル展開実績で大企業の選択肢となっています。

IBM MaaS360

AI(Watson)を活用した脅威分析機能を搭載するUEM製品です。コンテナ化、リスクベース分析、コンプライアンス監視を統合的にカバーし、金融・医療・公共部門での導入実績が豊富です。

Citrix Endpoint Management

Citrix製品との統合で、仮想デスクトップとモバイル管理を一体化できる製品です。Citrix Workspaceの環境に組み込んだエンドツーエンド管理が強みで、既存のCitrix導入企業に向きます。

Cisco Meraki Systems Manager

Meraki製品の一部として提供されるクラウドMDMで、Meraki Wi-Fiやスイッチとの統合管理が可能です。シンプルなUIと迅速な展開が評価され、中小〜中堅企業の支持を集めています。(2026年6月に販売終了予定。既存顧客向けサポートは継続)

2025年12月にEnd-of-Sale(販売終了)が告知され、2026年6月3日をもって新規販売が終了しています。既存顧客向けのサポートは2029年6月3日まで継続され、CiscoはSolutionsPlusプログラム経由でIvanti Neurons for MDMを代替として案内しています。新規選定では候補から外し、現在利用中の組織は移行計画の策定が必要です。

OPTiM Biz(旧Optimal Biz)

オプティム社が提供する国産MDMで、官公庁・金融・医療業界での導入実績が豊富です。日本語サポートの厚さと細やかな機能拡張で、国産製品を求める組織に選ばれています。

KDDI Smart Mobile Safety Manager

KDDIが提供するクラウドMDMで、通信キャリアならではの安定性とサポート体制が強みです。中堅企業を中心に法人スマートフォン管理の標準的選択肢の1つとなっています。

LANSCOPE エンドポイントマネージャー

エムオーテックス社の国産製品で、PCログ管理とMDM機能を統合的にカバーします。PC操作ログ、Web閲覧ログ、ファイル操作ログの詳細取得が強みで、内部不正対策と組み合わせた運用に向きます。

Hexnode UEM

クラウドネイティブなUEM製品で、価格競争力とiOS/Android/Windows/macOSの幅広いサポートが評価されています。中小企業から中堅企業に向け、SaaS管理プラットフォームとの統合運用にも対応します。

10製品すべてを詳細に比較する必要はありません。前提条件の整理結果を上の表に当てて系統単位で2つに絞り、その中から2〜3製品をPoC対象にする流れが現実的です。既存ライセンスに含まれる製品は、機能が最良でなくても必ず1つは候補に残しておくと、追加投資の妥当性を判断する基準になります。

既存MDMからの乗り換えを検討している場合は、機能比較よりも移行コストの見積りを先に行ってください。多くの製品では登録済み端末の再登録が必要になり、利用者側の操作を伴います。移行対象の台数、再登録の方式、旧製品のサポート終了日を並べたうえで、移行に必要な期間と社内調整の負荷を候補製品ごとに確認しておくと、導入後の想定外を防げます。

参考:MDMツールの比較・レビュー|ITreview

参考:MDM(モバイル端末管理)ツールの比較|ITトレンド

参考:Meraki Systems Manager 販売終了に関するFAQ|Cisco Meraki Documentation

参考:Jamf Pro|Jamf

参考:Workspace ONE UEM|Omnissa

参考:MaaS360|IBM

参考:LANSCOPE エンドポイントマネージャー|エムオーテックス

参考:Hexnode UEM|Hexnode

規模・業種別の選定パターン

組織規模と業種によって、MDM選定の最適解は大きく異なります。代表的なパターンを整理することで、自社のフェーズに合った製品候補を絞りやすくなります。

スタートアップ・中小企業(〜100名)

MDM対象は主にスマートフォンとMacで、コスト重視の選定が基本です。Microsoft 365を導入済みならIntune、Apple中心ならJamf Pro、クラウド型で価格を抑えたいならHexnode UEMが第一候補になります。SaaS管理プラットフォーム(ジョーシスなど)と組み合わせ、デバイスとアカウントの両方を管理する設計が現実的です。

中堅企業(100〜500名)

PC、スマートフォン、タブレットを統合管理できるUEMが推奨されます。Intune、Omnissa Workspace ONE、OPTiM Biz、KDDI Smart Mobile Safety Managerが候補で、SaaS管理プラットフォームと連携した自動化運用が中堅企業の標準形です。

この規模帯は、デバイス単体の管理からデバイスとアカウントを合わせて見る運用へ切り替わる分岐点でもあります。管理手法の全体像はデバイス管理の方法で5つのアプローチに整理しているため、MDM単体で解くべき範囲の見極めに使ってください。

準大企業(500〜2,000名)

UEMでの統合管理に加え、IDaaS、SaaS管理、SIEMとの連携が必要となります。Omnissa Workspace ONE、IBM MaaS360、Microsoft Intuneのエンタープライズ機能、Jamfと他UEMの組み合わせなどが候補で、PoC期間を60〜90日設けることが定石です。

エンタープライズ(2,000名以上)

複数のUEM/MDMを業務領域別に併用するケースもあり、ガバナンス層をIDaaS/IGAで統一する設計が中心です。Omnissa Workspace ONE、IBM MaaS360、Microsoft Intuneがエンタープライズの主要選択肢で、ベンダーの実装支援能力やサポート体制を重視します。

業種別の特徴

金融業界では強固なコンテナ化、データ持ち出し制御、監査ログの深さが重要視されます。医療業界では患者情報を保護するためのDLPと、医療機器のIoT管理が論点です。公共部門ではISMAP対応、国産製品の選好が強い傾向にあります。教育機関ではApple中心の利用が多く、Jamf Proが広く採用されています。製造業や物流業では現場で使う共用端末とAndroid端末の比率が高く、キオスクモード(単一アプリのみを使わせる設定)とゼロタッチ展開への対応可否が判断を分けます。

参考:ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)

導入から運用定着までの実装プロセス

MDM選定が完了してからが運用設計の本番です。導入プロセスを5ステップに整理し、運用定着までの道筋を可視化します。

ステップ1:パイロット導入

選定した製品を一部部門(30〜50台)で30〜60日間試験運用します。実際のデバイスでポリシー適用、ゼロタッチデプロイ、リモートワイプの動作を検証し、想定外の挙動を洗い出します。

パイロットで見るべきは「機能が動くか」ではなく「自社の運用に載るか」です。ゼロタッチ展開の成功率、ポリシーが全端末へ行き渡るまでの時間、利用者からの問い合わせ件数、リモートワイプの実行から完了までの時間を記録しておくと、製品間の比較が定量的になります。

ステップ2:全社展開計画の策定

部門展開順、データ移行計画、利用者への通知タイミング、教育コンテンツを整備します。並行して、利用規程、紛失時の対応フロー、退職時のデバイス回収手順をドキュメント化します。

ステップ3:本展開と並行サポート

部門単位で順次展開し、問い合わせ窓口、FAQ、操作マニュアルを公開します。展開直後は問い合わせが集中するため、情シス部門の人員配置を一時的に強化することが推奨されます。

ステップ4:自動化と運用標準化

ゼロタッチデプロイ、入社時のキッティング自動化、退職時のリモートワイプとアカウント無効化を、人事システム・SaaS管理プラットフォームと連動させます。自動化を徹底することで、運用工数の大幅な削減につながります。

自動化の効果を大きくするには、MDMの設定だけでなくキッティングの工程自体を見直す必要があります。作業範囲の切り分けと自動化の考え方はPCキッティングとはで解説しています。

ステップ5:継続的な改善

導入後3〜6カ月でKPIを測定し、運用フローやポリシーを継続的に改善します。新OSバージョン対応、新規SaaSの取り込み、セキュリティインシデント対応の見直しを定期的に実施することで、ツール価値を最大化できます。

測定するKPIは、端末1台あたりのキッティング所要時間、ポリシー準拠率、退職者のアカウント停止までの所要時間、MDM関連の問い合わせ件数の4つから選ぶと改善に結び付きやすくなります。いずれも数値で追える指標のため、翌期の予算折衝でも説明材料として使えます。

参考:Android Enterprise(Android の企業向け管理基盤)

参考:ITサービスマネジメントの実装ガイド|itSMF Japan

MDM比較で押さえる用語集

比較表やベンダー資料に頻出する用語のうち、選定の判断に影響するものを整理します。MDM・EMM・UEMの関係や仕組みそのものの解説は別記事「MDMとは?仕組み・EMM/UEMとの違い」にまとめているため、ここでは比較時に読み替えができる程度の定義にとどめます。

  • MDM(Mobile Device Management):モバイル端末を中心としたデバイス統合管理
  • UEM(Unified Endpoint Management):PC・モバイル・IoTを統合管理する基盤
  • EMM(Enterprise Mobility Management):MDMとアプリ・コンテンツ管理を含む統合管理
  • BYOD(Bring Your Own Device):社員私物デバイスの業務利用
  • COPE(Corporate-Owned, Personally Enabled):会社支給端末で私的利用も認める形態
  • ゼロタッチデプロイ:箱から出した瞬間に自動設定を完了させる仕組み
  • ADE(Automated Device Enrollment):Apple製品の自動登録機能
  • Android Enterprise:Googleが提供する企業向けAndroid管理基盤
  • リモートワイプ:紛失時にデバイスのデータを遠隔消去する機能
  • コンテナ化:BYOD端末で業務領域と私的領域を分離する技術
  • DEP(Device Enrollment Program):Appleの旧称、現在のADEに相当
  • SCEP(Simple Certificate Enrollment Protocol):証明書配布のプロトコル
  • 条件付きアクセス:デバイスの状態に応じてアクセスを許可・拒否する仕組み

参考:Apple Business Manager ユーザガイド|Apple

ジョーシスでMDM運用とアカウント統制を統合する

MDMはデバイスの統制を担う一方で、デバイスから利用されるSaaSアカウントとライセンス管理は別ツールが必要となるケースが大半です。ジョーシスは、SaaS、デバイス、アカウントを統合管理するAI駆動型アイデンティティガバナンスプラットフォームで、MDMが管理するデバイス情報と、SaaS管理プラットフォームが管理するアカウント情報を一元化します。

国内外1,000社以上の導入実績があり、350種類以上のSaaSアプリケーションと連携します。デバイス台帳とアカウント台帳を同じ基盤で突き合わせられるため、「MDMには端末が登録されているのに、退職者のSaaSアカウントが残っている」といった不整合を検知できます。導入企業の実績としては、Anker GroupがITコストを75%削減し、Sales MarkerがIT資産の可視化と運用見直しでIT工数を約50%削減しています。人事システム、IDaaS、MDMとの統合運用によって、デバイスとアカウントの両面から統制を強化できます。

参考:Anker Group が ITコストを75%削減した事例|ジョーシス

参考:Sales Marker がIT資産の可視化と業務効率化を実現した事例|ジョーシス

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よくある質問(FAQ)

MDM比較と選定でよく寄せられる質問にお答えします。

Q1:Microsoft IntuneとJamfはどちらを選ぶべきですか

業務でMacやiPhoneを多用する組織ではJamfが第一候補、Microsoft 365中心の組織ではIntuneがコスト・統合性ともに優位です。両者を併用する組織もあり、Apple端末はJamf、Windows端末はIntuneという使い分けも一般的なパターンです。

Q2:国産MDMと海外製MDMはどちらが良いですか

日本語サポートと細やかな機能要望対応を重視するなら国産(OPTiM Biz、KDDI Smart Mobile Safety Manager、LANSCOPE)、グローバル展開と最新機能のスピードを重視するなら海外製(Intune、Jamf、Omnissa Workspace ONE)が優位です。海外拠点を持つ組織では海外製の選好が強まります。

Q3:MDM導入で失敗するパターンにはどんなものがありますか

要件定義不足のまま製品を決め、PoCを省略するパターンが最も多い失敗例です。次に多いのが、機能を過剰に絞り込んだ結果、運用フェーズで機能不足が露呈するケース、社員教育を軽視してシャドーITを誘発するケースです。要件定義、PoC、教育の3点を疎かにしないことが成功の前提条件です。

Q4:BYODとMDMの関係はどう設計すべきですか

BYODではコンテナ型のMDMで業務領域と私的領域を分離し、リモートワイプの対象を業務領域に限定する設計が標準解です。利用同意書、社員説明会、定期的なポリシー見直しを組み合わせて、信頼関係を維持しながら統制を行います。

Q5:MDMからUEMへの移行はどのタイミングで考えるべきですか

PC統合管理のニーズが顕在化したタイミング、複数MDMの併用で運用負荷が増したタイミングが移行の起点となります。中堅企業以上では、最初からUEMを選定する選択も増えており、3〜5年先の拡張性を見込んだ判断が望ましいです。なお、利用中の製品が販売終了になった場合も移行の起点になります。既存の登録済み端末は再登録が必要になることが多いため、サポート終了日から逆算して1年以上の準備期間を確保しておくと安全です。

まとめ

MDM比較は、自社の前提条件を整理してから評価軸を設定し、PoCで実環境での動作を確認するプロセスが王道です。比較を早く終わらせる鍵は、対応OS・価格モデル・ID連携の3軸で候補を3〜5製品に絞り、残りの判断をPoCに委ねることです。ここまで紹介した7つの評価軸と10製品の比較表、5ステップの実装プロセスを起点に、自社のフェーズに合った選定を進めてください。SaaSとデバイス、アカウントを横断管理したい中堅・準大企業の情シスには、ジョーシスとMDMの組み合わせが現実的な選択肢となります。

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関連記事:IT資産管理ツールの選び方|7つの評価軸で比較

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